主人公の〈私〉は、出版社で文芸書を担当するベテラン編集者。大の本好きだ。太宰治の小説「女生徒」を読むなかで、女生徒が引いた辞書、すなわち太宰治の辞書は何だったのか?最後の一文「もう、ふたたびお目にかかりません」とはどういう意味か?など、さまざまな疑問を抱く。それら一つひとつを丁寧に調べ、真相に近づいてゆく。 本書は、著者のデビュー作『空飛ぶ馬』からつづく〈私〉シリーズの最新作。1998年発売…

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