元NHKアナウンサーの武内陶子さん(撮影/写真映像部・和仁貢介)
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 今年9月にNHKを退職し、サンミュージックへ移籍したアナウンサー武内陶子さん(58)。【中編】では一度はやめた不妊治療の苦しさや、高齢出産にもかかわらず第2子、第3子をつくったきっかけなどを聞いた。【後編】では、一時期はひきこもりにもなったという子育てと転機になったアメリカでの生活、2003年に総合司会をした「紅白歌合戦」の裏話などを語ってもらった。

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※【中編】<元NHK武内陶子さんが長女の“胎内記憶”から聞いた「奇跡」 双子誕生前に「ママのおなかがいいって子がいっぱい」>より続く

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 不妊治療の末、39歳で産んだ第1子。生まれてからはドタバタの日々が始まったという。

「なんで泣いてるのか、どうして寝てくれないのか、全然わからないんですよ。話が通じないから。妹が獣医師なんですけど、『陶子さんは犬も飼ったことないからな』って。犬と比べるのはなんだけど(笑)、犬を飼ってる人は、自分の思い通りにならない生き物を大事にしてかわいがってるわけじゃないですか。その経験もなかったので、怖くて怖くて。ちょっとカタッて音がしたら、せっかく寝てくれた赤ちゃんが起きるんですよ。だから、夫が帰ってきたときにガチャッと音をさせようものなら、『なんで音立ててんの!』って怒鳴ってしまって。本当にピリピリしてて、すごく大変でした。最初の2週間ぐらいは母が来てくれていたんですが、そのあとは一日の大半が私と赤ちゃんと2人の生活。孤独なワンオペ育児の時間がすごくしんどくて、一時期、家に引きこもってました」

 初めての子育てに疲弊していた武内さんに転機が訪れる。夫の上田紀行氏がカリフォルニアへ10カ月ほど、転勤することになったのだ。武内さんはアメリカでの生活をこう振り返る。

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アメリカで感じた“子育て文化”の違い