専業投資家 テスタさん/2005年に専業トレーダーとして株式投資を始める。当初は超短期取引で資産を積み上げ、暴落を乗り越えつつ23年に総利益80億円達成(撮影/戸嶋日菜乃)

 株式投資を始めて18年、総利益3ケタ億円も視野に入る専業投資家の長期保有用ポートフォリオから新NISAのヒントを探る。AERA 2023年12月4日号より。

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“ほったらかし新NISA”の極意は「ネット証券かなじみの金融機関で投資信託1本(全世界株式の投資信託)の毎月定額積み立て設定をして、あとは忘れる」こと。これなら投資の知識や経験がゼロでも実践できるので、万人向けだ。

 ただ、本誌読者には「日本株が好き」「ちょっと買ってみたい」という層も少なからず存在する。新NISAでは「成長投資枠」で日本株が買える。

 個別株は、銘柄の選び方次第でインデックス投資信託より大きな値上がり益が狙える。もちろん大損するリスクもある。

 株式投資を始めた初年から18年連続で利益を積み上げ続け、利益の合計額が2023年で80億円を突破した専業投資家のテスタさんに話を聞いた。

AERA 2023年12月4日号より

僕は投信を買わない

「長期的な資産形成や、物価高・円安などによる目減りからお金を守るという意味で、投資信託の積み立ても有効だと思います。ただ、株の個別銘柄は投資信託より大きな可能性を秘めている気がします。僕の場合、投資信託より自分で個別株を売買したほうが増やせると考えるので、投資信託は買いません」

 新NISAに関しては「投資の第一歩に、みなさんぜひ活用してほしい」とニッコリ。

 テスタさんのように、株価の値上がり益を追求して成功できればよいが、難しそうだ。「ほったらかし新NISA」を日本株でやりたいなら、値上がり益だけ追求するのではなく「配当」にも注目するのはどうだろう。値上がりを待ちつつ長期保有。持っている間は、定期的に配当を受け取る、「持ちっぱなし高配当株」。個別株なだけに完全にはほったらかせないが、入り口としてはよさそうだ。

 テスタさんは短期売買を中心に資産を増やしてきた。最近は動かすお金のケタが違うので、当初より長いスパンのトレードが増えている。そして本業とは別に「持ちっぱなし」の状態にしている銘柄があるという。

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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