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※写真はイメージです(Getty Images)

 発達障害の特性によってつらい思いをする人がいる一方で、幸せに暮らしている人もいる。その違いはどこからくるのか。朝日新聞くらし報道部では、生まれ持った特性は変わらなくても、周囲の環境を調整することで、発達障害による生きづらさを小さくすることはできるのではないか、という視点から取材を重ねてきた。記事をまとめた新著『発達「障害」でなくなる日』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集し、学校という環境について考える。

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 学校の勉強がこなせないと泣きじゃくる小学生の娘。それには、学習障害という理由があった。学校に配慮を働きかけ、娘が過ごしやすい環境を探し求めた家族のケースを紹介する。

「自分はバカだ」と暴れる娘

 漢字プリントに計算ドリル、日記……。

 当時、小学校3年生だった娘(13)は、「学校の宿題を片付けられない」といつも泣いていた。

「なんで宿題をやらないの?」

 母(49)が尋ねると、やらないのではなく「できない」という。

 運の悪いことに、当時の担任は昭和時代をほうふつとさせる熱血漢だった。宿題ができない理由について娘の言い分に耳を貸さず、「言い訳をするな」という態度だった。いつも、「やればできるはずだ!」とクラスの子どもたちを怒鳴っていた。

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音読がほとんどできない娘