有吉弘行

 11月13日放送の特番『有吉弘行の脱法TV』(フジテレビ)を見て、直感的に「懐かしいな」と思った。そのように感じた理由について少し考えてみることにする。

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 番組の内容は、有吉弘行が「テレビではできない」とされていることの抜け穴を探して、何とか実現しようとするというもの。

 たとえば、地上波テレビでは芸人などのタレントの体にタトゥーが入っているのを見せてはいけないとされている。でも、アーティストや海外のアスリートなど一部の人はタトゥーを見せても問題にならない。

 そこで、もともとタトゥーが入っているアーティストが芸人になって、舞台でネタを披露するところを映せば、結果的に「タトゥーが入っている芸人」の映像を流せるのではないか。この番組では、本物のアーティストに協力してもらって、それを検証してみせる。

 その後も、女性の乳首を描いた落書きを少しずつリアルなタッチにしていって、どこまで映せるのかを調べるなど、地上波で放送できる限界を具体的かつバカバカしいアプローチで探る試みが行われていた。

昔見ていたテレビはこうだった

 この番組を懐かしいと感じた理由を分析してみると、昔見ていたテレビではこういう実験的な企画が結構あったな、と思ったからだ。「できるか、できないか」よりも、まずはやってみる。そして、どうなるのかをたしかめてみればいい。そのような「見る前に跳べ」のスピリッツの片鱗を感じた。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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限界を探ると超えられるかもしれない