写真はイメージです(GettyImages)

 お酒が好きで飲む量が多い人に一定期間、ノンアルコール飲料を提供する実験をしたところ、飲酒量が減ったとの結果が公表された。ノンアルがお酒と「置き換わった」可能性が考えられるという。さらに興味深いのは、ノンアルの提供が終わった後も、実験前よりお酒の量が減った状態が続いたことだ。一体なぜなのか。研究をした、医師で筑波大学医学医療系の吉本尚・准教授に話を聞いた。

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 実験は、吉本准教授とアサヒビールが共同で行った。

 参加したのは、1週間に4回以上お酒を飲む男女計123人(男性54人、女性69人)。1回の飲酒量が男性で純アルコール40グラム以上、女性20グラム以上で、ノンアルを飲むのは月1回以下の人。アルコール依存症の患者や肝臓の病気のある人は除外した。

実験前より1日平均で10グラム以上減

 参加者を「ノンアルを提供する」「提供しない」の2つに無作為にグループ分け。提供するグループには、1人当たりノンアル飲料3ケース(350ミリリットル缶・24本入り)を4週に1度、計12週間提供した。

「参加者はお酒の飲み方に問題を感じていて、量を減らしたいとか飲み方を変えたいと思っている人たちではありません」(吉本さん)

 いわゆる「酒好き」で、提供したノンアルをどう飲んでどう変わるか、自然な反応が見やすい人たちだ。

 また、提供終了後の8週間を観察期間とし、合わせて20週間を費やした。

 その結果、ノンアルの提供を受けたグループはノンアルの摂取量が増え、12週目の時点で1日平均で314ミリリットル飲むようになった。お酒については純アルコールの摂取量が実験前より1日平均11.5グラム減っていた。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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