1959年の誕生以来、プラレールはあらゆる世代の心をときめかせている。半世紀を超えて愛される中で「地域や人とのつながり」にも貢献している。AERA 2023年11月6日号より。
【写真】何層にも高く積み上げられたプラレールの立体レイアウト
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大人も魅了するプラレールは地域の人々をつなげる役目も果たしている。東京・杉並でご近所付き合いの復活を目的とした活動を行う団体「まっこみゅ」は、JR中央線の高架下にある高円寺空き倉庫で、高円寺プラフェスを定期的に開催している。
代表の桜井俊郎さんがウェブサイト「プラレールの宿」主宰の松岡純正さんのプラレール展示を見て衝撃を受け、これは子どもたちにも楽しんでもらえるに違いないとプラフェスを行うことを決め、タカラトミーが運営している会ではないが、2021年に第1回を開催した。以来6回を数える。
親の方が夢中に
「杉並地域の人々のご近所付き合いを広げてもらえればという趣旨なので杉並在住の人が多いのですが、北海道や静岡などから、旅行の行程の一つとしていらっしゃる人、外国人もいます」と桜井さん。子どもが楽しんでくれればと思いプラフェスに来たが親の方が夢中になったという人もいるそうだ。
「プラフェスをきっかけに知り合いになり、その後のお付き合いに発展している例もあります」と桜井さんは強く語った。
おもちゃとしてではなく、業務用のツールとしてプラレールを使った安全訓練をしている鉄道会社もある。伊豆急行がその一つだ。
「プラレールを採用する前は文字やイラストなどを使って訓練をしていたのですが、2次元なのでどうしても参加者に状況が伝わり切らないこともありました。プラレールを使うことで列車、駅、トラブルが起きた現場などを立体的に、そして俯瞰で見ることができるようになり、訓練をわかりやすく体験できるようになりました」と話すのは伊豆急行事業推進部の加納徹也さん。乗務員の時にプラレールを使った訓練に参加したこともあるという。ポイントを動かしたり、列車を止めたりと実際の運用に近い形で運用できるのもいいと続けた。
「今はディスプレーに表示されたイラストとプラレールを同時に動かすなどして、訓練方法も進化しています」(加納さん)