日銀が7月に政策を修正してから3カ月の間に、固定型の金利は長期金利の上昇に合わせてじわじわ上がってきた。メガバンクは11月適用の固定型の金利を軒並み引き上げている。11月分には今回の日銀の再修正の影響は反映されていない。このため12月以降も上がる可能性が高い。
一方で、日銀はマイナス金利政策を維持し、短期金利の影響を受ける変動型の金利は低い水準で推移する。
足元の状況だけを考えると、変動型を借り続けたほうが有利なようにも見える。だが、金利の先行きを見通すのは難しい。この先、マイナス金利政策の解除など、金融政策が正常化に向かえば、今のような状況が続くとは限らない。
前出の豊田さんは「残りの返済期間や蓄えを踏まえて、冷静に戦略を見つめ直す必要があります」と言う。
「今利用している変動型のローンの返済期間はどのくらい残っていて、仮に金利が上昇したら、どの程度の水準までなら耐えうるか。もし残りの返済期間が少ないのであれば、固定型への借り換えをせずに、そのまま逃げ切れるかもしれません。また、あくまでも借り換える方針を変えないのだとしたら、固定型の金利上昇はどの程度まで容認できるかを考えておくべきでしょう。長期金利が上がりだした今のような早めの段階で、備えを検討したほうがいい」
長期金利の上昇で変化が想定されるのは、住宅ローンだけではない。
11月1日には三菱UFJ銀行が、期間が5年以上の定期預金の金利を引き上げると発表した。6日から、期間が10年の定期預金の金利は今までの0.002%から、その100倍の0.2%に上がる。ほかの銀行も後に続く可能性がある。