ビニール傘といえば、安くて使い捨てと思われがちですが、ここ数年、“進化”したビニール傘に注目が集まっています。なかでも、園遊会などで使われるものは、1本なんと8000円!! この高級なビニール傘には、日本のメーカーの匠の技が隠されています。また、ビニール傘は英国王室でもよく使われていますが、それは、「お顔が見えるように」という配慮から。さらに、“透明”という常識を破ったプリント柄のビニール傘も、ここ最近、人気があります。傘が活躍する梅雨の季節。最近人気のビニール傘について、ご紹介します。
この記事の写真をすべて見る園遊会で使われた 「縁結」 は8000円 !! 強風でも折れにくい匠の技。
最近の選挙の演説では、候補者の顔が見えるようにと、雨のときはビニール傘が使われるようになりました。選挙でよく使われるこの傘は、透明度が高くて丈夫な高級なビニール傘で、その名も「カテール」。この「カテール」を作っているのは、ホワイトローズ株式会社です。創業は江戸時代。当時は徳川幕府御用達の由緒ある傘問屋で、戦後、世界ではじめてビニール傘を作ったという会社です。
両陛下とビニール傘との出会いは、2010年5月、全国植樹祭でした。折りしも雨が降ったので、関係者が両陛下のお顔が見えるようにと、高級ビニール傘「カテール」を差し出しました。美智子さまは以前から、お顔がよく見え、見通しのきくビニール傘に興味をお持ちだったのですが、この出会いをきっかけに、ホワイトローズに話が持ち込まれました。そして開発されたのが「縁結(えんゆう)」というビニール傘です。
「縁結」の一番の特徴は、骨が折れにくいことです。骨はグラスファイバー樹脂なので、しなやかで折れにくく、風の力を吸収します。また、ビニール部分には「逆止弁穴開き加工」(特許)がほどこされています。これは、傘の内側から強風が吹き込んでも、その特殊な弁から外側に風が抜けていくので、傘が“ひっくり返ったり”、骨が折れたりしづらい構造になっています。
2010年の秋、園遊会で美智子さまは「縁結」をお使いになりました。皇室クラスの方が透明な傘でご公務にあたられるのはとても珍しいことだったので、この「縁結」は一躍注目を集めるようになりました。
今では一般向けにも販売されるようになり、価格は8000円(税別)。生地は、濡れてもベトつかない素材。色はゴールド、シルバー、ピンク、ネイビーの4色です。
英国王室で使われているのは、肩まですっぽり入る 「フルトン」 の鳥かご型。
ビニール傘は、英国の王室でも使われています。エリザベス女王がご愛用の傘は、肩まで覆う鳥かごのようなスタイル。この、独創的な形の傘を販売しているのは、英国の傘メーカー、「フルトン(Fulton)」です。
写真の傘は「バードケージ1」というタイプで、深いアーチ型で丸みのあるデザインは肩やバッグが雨に濡れにくく、しかもファッション性も兼ね備えています。透明な傘はお顔がしっかり見えて、しかもファッションの邪魔をしないという利点もあり、王室で使われています。
フレームは軽くて丈夫なグラスファイバーで、傘の開閉は指がはさまらない安全な構造になっています。
「バードケージ1」は5400円。ラインの色は黒、赤、ピンク、白、シルバーなどがありますが、女王陛下は写真のネイビーのラインがお気に入り。
プリント柄がキュートなビニール傘は398円。花柄やドット、レース模様も。
カインズのビニール傘は、価格がどれも398円と498円の2種類。柄が豊富で、写真の花柄をはじめ、ストライプ、ドット、レース模様、さらに、ディズニーのキャラクターなどもあります。価格がお手ごろなので、何本かそろえて、日によって好きな柄を選ぶ、ということも楽しめそうです。こんなカラフルなビニール傘があれば、嫌な梅雨の季節も、楽しくなってしまいますね。
写真の傘は、「デザインジャンプ傘」、58cm、スウィートフラワー。価格は398円。
ビニール傘といえば、安くて壊れやすくて消耗品、というイメージがありますが、「自分の顔が見える」ということで、選挙の演説や皇室のご公務に使われるようになりました。さらに、「自分の顔が見える」というよりも、「周りがよく見えるので安全」という意味合いで、歩くのが困難な方たちにも広く使われています。これからは、消耗品というイメージを払拭した、高品質のビニール傘も、求められつつあるようです。
また、“透明でない”、カラフルな模様のビニール傘も登場しています。雨の日が多い梅雨の季節ですが、お気に入りの模様の傘をさして、湿りがちな気分を、少しでも晴れやかに過ごせることができればいいですね。