西表島・干立/海から来る神「ミリク様」を迎えにゆく男衆、迎え入れる踊り手(アンガー)たち(沖縄県竹富町)
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 生誕100年を迎えた作家・司馬遼太郎。週刊朝日でその作品世界を17年撮り続けてきた小林修に発想を聞いた。AERA2023年10月16日号より。

【写真】上空から撮影された馬毛島がこちら(ほか4枚)

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小林修(以下、小林):週刊朝日での連載は2006年に始まって、17年続きました。雑誌でこれほど同じ企画が続くことはあまりない。司馬さんの膨大な作品数、古びない奥行きの深さがあってだと思います。

早朝の播磨灘/黒田官兵衛を思いつつ、司馬さんは「播州揖保川・室津みち」を歩いた

 実は歴史は苦手なほうで、司馬さんの小説はそれほど読んでいなかったのですが、『街道をゆく』はよく読んでいました。カメラマンなので、旅はひとつの重要なテーマだと思っています。ただ、『街道をゆく』は普通の紀行文とは全く違います。辺境や異境から見た旅だったり、名所もない普通の町や村を旅したり。日常の風景のなかにこんな歴史が潜んでいたのか、と気づかされる。現在に続く歴史の流れがすっと頭に入ってくる。面白い視点だなと思っていました。

 最初の頃は写真になりそうなところに付箋を付けまくっていたのですが、気がつくと付箋が多すぎてわからなくなってしまう。結局、イメージ作りには司馬さんの言葉が必要です。司馬さんは風景を描写するとき、美辞麗句を並べることはなく、その土地に積み重なる歴史や風土への深い知識をもとに表現する。美しいフレーズも、多くの情報が詰め込まれた風景表現であり、その言葉からイメージするものを頼りに歩いてきました。

現代とリンクさせたい

――撮影を担当したシリーズのムックは24冊、写真集も2冊発表した(25冊目となるムック「生誕100年 司馬遼太郎の現在地Ⅱ」が10月24日に発売される)。現在、6度目の写真展が姫路文学館で開催中だ(11月26日まで)。前回の写真展より約40点が追加された。

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