10月2日、ジャニーズ事務所は2度目の記者会見で、「解体的出直し」を図ることを誓った。笑下村塾代表のたかまつななさんは、性加害問題をめぐる一連の流れをどう見るのか。AERA 2023年10月16日号より。
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10月2日の会見の冒頭で、井ノ原(快彦)さんが、被害者に対する誹謗(ひぼう)中傷をやめるように訴えました。被害者が声をあげることは本当に勇気のいることにもかかわらず、一部のファンの方が感情的になられて、被害を訴えた側がいけないという空気感になっていたので、このことについて言及されたことは、とても良かったと思います。
また、新会社を立ち上げると発表しましたが、注目したいのは、希望するタレント個人やグループとエージェント契約を結ぶとしたこと。今までの芸能界ではあまり考えられなかったことで、私は前向きに捉えています。
日本の芸能界は基本的には事務所に所属する契約が多く、事務所の権限が強い。タレントは事務所の意向に従わざるを得ないことも多くあります。ギャラ交渉ができなかったり、CMが来なくなるからと、政治的な発言はするなと怒られたり、SNSを事務所が管理したりすることも。事務所と話し合って、折り合いがつけばいいですが、言うことを聞くか、あるいは事務所をやめるという選択肢しかない場合もあるでしょう。
業界全体変わる可能性
ジャニーズ事務所のエージェント契約がどうなるのか、きちんと見ていかないといけないと思っていますが、エージェント契約自体は、海外では一般的です。テレビ出演の交渉だけ事務所にお願いしたり、秘書業務だけ契約したりすることができ、タレントが主導権を握ることができる。個人が尊重されるような業務形態になることをジャニーズ事務所が選択するのであれば、業界全体が大きく変わる可能性があると思います。
一方で、メディアの他人事感が気になります。各社、ジャニー氏の性加害問題に対して向き合ってこなかったことを反省した声明を出してはいますが、それだけでは十分ではありません。