円安や原油高が進み、物価の値上がりはなかなか収まりそうもない。岸田文雄政権は10月末をめどに物価高対策をまとめる方針だが、経済評論家の斎藤満さんは「本気で物価高を抑えたいようには見えない」と批判する。
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「あらゆる手法を動員して思い切った対策にしたい」
岸田首相は10月4日、準備を進めている新しい経済対策について、こう話した。
対策をめぐっては、自民党の茂木敏充幹事長や世耕弘成参議院幹事長ら与党内から、所得税や法人税の減税も検討の対象にするべきだといった声が出ている。自民党の若手有志からなる議員連盟も4日、消費税率の5%への引き下げなどの検討を求める提言をまとめた。百家争鳴の様相を呈しつつある。
岸田首相は、こうした与党の提言も踏まえて対策をまとめ、裏付けとなる2023年度補正予算案を20日に召集する臨時国会で成立を目指す考えだ。
これに対し、経済評論家の斎藤さんは「国民の支持集めや人気取りのためのバラマキの材料として言っているようにしか思えない」と切り捨てる。
「今回の経済対策は、そもそも物価高対策のはず。でも、日本銀行は2%の物価安定目標の達成が見通せないとして緩和策を続けています。そのため日米の金利差は縮まらず、円安・ドル高が進みやすい状況にあります」
今のままでは年末にかけて1ドル=150円後半から160円近くの水準までずるずると進む可能性もある」と齋藤さんは指摘する。
「足元では原油高も加わり、物価の上昇は簡単に収まりそうもありません。さらに経済対策に盛り込む財政支出や減税も、インフレを促す性質のものです。政府に物価高を本気で抑える気持ちはあるように見えません」