竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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「コンビニ百里の道をゆく」は、54歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

【写真】セ・リーグ優勝を果たし、胴上げされる阪神の岡田彰布監督

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 阪神タイガースが18年ぶりにセ・リーグで優勝しました。阪神ファンの私としてはうれしい限りです。印象に残ったのは采配を振るった岡田彰布監督の手腕です。噛めば噛むほど味が出るような監督になられて、本当にすばらしいと思いながら見ていました。

 風貌があの雰囲気なので、おっとりされている方なのかなと思っていたのですが、選手起用に際しての決断力もすごいし、選手の気持ちの乗せ方、モチベーションの上げ方において、抜群のリーダーシップなのだと想像します。

 私は岡田さんを、1985年の巨人戦で槙原寛己投手からランディ・バースさん、掛布雅之さん、そして岡田さんとバックスクリーンにホームランを3連発で打ち込んだ頃から見ていますが、「決めるときは決める人」という強烈な印象です。バースさんと掛布さんが打って、次の岡田さんももしかして、というファンの期待にはガツンと応えてみせる。秘めた闘志を現役時代から感じていました。

セ・リーグ優勝を果たし、胴上げされる阪神の岡田彰布監督=9月14日

 監督になられてからは、雰囲気が故・野村克也さんとダブって見えます。その指導の下、古田敦也さんなどたくさんの若手が育っていった、そのときに似てるなと。野村さんが平成の名将なら、岡田監督は令和の名将でしょうか。

 会社の社長という私の立場からも興味があります。会社では90年代後半以降生まれのいわゆるZ世代から60代半ばの社員まで、お店ではもっと幅広い世代の仲間が、一緒の目標に向かって日々がんばっている。岡田監督はプロ野球の世界で、今年も大活躍だった佐藤輝明選手をはじめ、Z世代を令和流のやり方で鍛え上げて、令和流のやり方で勝っていく、その達人のようにも思えます。

 組織もZ世代がノッてくれば楽しく明るく、勢いが出てくる。岡田監督にお会いできる機会があったら、ぜひその秘訣を聞いてみたいですね。

AERA 2023年10月16日号