日本で一番売れている月刊誌!
紙の定期購読で、14万部の部数を2017年からの6年間で49万5000部に!
ということで、シニア女性向けの定期購読月刊誌『ハルメク』の編集長の山岡朝子は、度々新聞社のインタビューをうけている。新聞社や日本新聞協会の講演にも呼ばれる。
だから彼女をこのコラムでとりあげることは、いまさらと思ったのだが、これまでの記事を読んでみると、肝心なことが書いていないことがわかった。
「ハルメク」の快進撃は、実は山岡だけを見ていてはわからない。
ハルメクを発行するハルメクホールディングスの前身は、1989年に創業された株式会社「ユーリーグ」。その「ユーリーグ」は、2009年3月に約65億円の負債総額を抱えて、民事再生法の適用を申請している。そこで、この「ユーリーグ」を買収したプライベート・エクイティ・ファンドのJ-STARが、代表取締役社長として送り込んだのが、ボストン・コンサルティング出身の宮澤孝夫だ。
宮澤孝夫という経営者からシニア女性を顧客にしたこの会社の再生劇を見てみると、まったく違う風景が見えてくる。
週刊ダイヤモンドの電子有料版への移行による再生劇でも、経営と編集の両輪がいかに大事かということを書いたが、今回、前・後編でお届けするのは、編集と経営が両輪になった「ハルメク」の再生劇。
「ハルメク」をメディアの会社と見るのは正確ではない。「ハルメク」を定期購読でとると別に「ハルメクおしゃれ」という通販のカタログ雑誌がついてくる。このカタログには、シニアの女性向けのオリジナルの服や靴が掲載され、読者は電話やネットで注文できるようになっている。
たとえば、2023年4月号の「ハルメクおしゃれ」には、冒頭に「着るだけでなんだか品よく見えるブラウス」という商品が掲載されている。このブラウスは、実は「ハルメク」の読者と、編集部、通販本部が何度もミーティングを重ねて一年にわたってつくりあげたオリジナル商品だ。カタログ雑誌のほうでは、9990円という定価と商品番号とともに、巻末には注文先の「ハルメクお客様センター」の電話番号が大きく掲載されている。