『きらからくりこる』フライヤー
<br />
『きらからくりこる』フライヤー
この記事の写真をすべて見る
稽古は熱を帯びています! ことばもからだも宙を舞うように (撮影/今野尚美)
<br />
稽古は熱を帯びています! ことばもからだも宙を舞うように (撮影/今野尚美)
ことばで笑い泣き、時にはケンカも (撮影/今野尚美)
ことばで笑い泣き、時にはケンカも (撮影/今野尚美)

「ことばあそび舞台」と言われても大方の人には??だと思いますが、私も音楽で参加する『きらからくりこる』の公演が2015年5月30日(土)、31日(日)の両日、北とぴあドームホールにてあります。今回は、演出の二瓶龍彦氏に話しを伺ってみました。

──「ことばあそび舞台」ってどんな舞台なのですか?

 実はやっとこさひねり出した“レッテル貼り好きな世間向きジャンル名”なんです。ワードパフォーマンスなんて言っても余計に伝わらないし。一言で言うと、日本語を使って舞台上の役者とお客様が自由自在に遊ぶステージということです。

──観客も参加できるということは、舞台上から客席にいろいろ投げかけられる?

 はい。参加型ステージです。例えば「ことばのかくれんぼ」というシーンがあります。「かくれんぼ」ということばの中にはなにが隠れています?

──??

「ぼく」「かれ」「かん」いろいろあるじゃないですか。

──ああ、そういうことか。なるほどね!僕 彼 缶……

 実際にひらがなのことばたちを映像で映しだして、どんどん探してもらいます。ひらがなだからこそ目で見てすぐにいろいろ発見できる。

──なるほど。他にはどんなシーンがあるのですか?

「ことばのネックレス」これはしりとりなのですが、最後にはループして「のみ」ということばの「の」に戻ってくるのですが、その「の」に戻る前にどれだけ大きなネックレスがアドリブで作れるかが醍醐味です。あんまり簡単に「の」に戻ってはいけないし、大きすぎるといつまでたっても終わらないし、本番でどんな展開になるのか楽しみです。自分で作ったオリジナルなことば(単語)を披露しあうシーンもあります。ネタばらしになるので言いませんが、たとえばミュージシャンだったらピアノを「やのぴ」とかトランペットを「ぱつら」とか言うじゃないですか。そんな風にユニークな語感の造語がいくつ飛び出すのか。いずれのシーンもあらかじめ決めておく予定調和ではなく、観客とのやりとりを通して即興で進んでいくので、とてもスリリングになること間違いなしです!

──そうですか。これは子どもたちは喜びそうですね!

 確かにこの舞台、一番見てもらいたいのは、子どもたちと親子連れなんですが、ふだん頭をほぐしていないであろう疲れた(別に疲れてなくても、元気な人も(^_^;))おとなの方達もウエルカム。ぜひ声を発して一緒に遊んでほしい。けど、やっぱり積極的に楽しく遊べるのは子どもたちだろうなあ。

──おとなは頭かたいし、周りを気にして臆病ですからね。

 ふふふ。

──ところで、『ワードプレイカンパニー バッタの学校』の企画・制作とありますが、なぜバッタなのでしょう?

 バッタっていつもは地べたを這っているんだけど、時々突然ピョン!って跳ぶでしょ。その自由なイメージがいい。ことばもバッタのようにいつも自由であってほしいし、バッタが住んでる、原っぱや空き地も大好きなんです。学校ということばは固く捕らえられがちですが、そうではなくて、発見と想像、創造の場を提供したいということです。もっとおおげさに言えば、国境も民族も越えて誰でもが参加できる場としての学校。

──いいですねえ。そんな学校ならみんな好きになるだろうなあ。

 そういう学校があってほしいです。

──『きらからくりこる』というタイトルもなにか不思議ですね。

 語呂がいいでしょ。作者の織田道代さんといろいろやりとりして、最後に織田さんからぽーんってバッタのように跳んで出てきたのが「きらからくりこる」ということば。みんな、これはなんだろう?と思うし、舞台上でも常に呪文のように繰り返されます。ちょっとネタばらしだけど「ことばからくり箱」なんていうことを考えていて、ちゃんとその「からくり」が中に仕掛けてある。

──う~ん。うまい!座布団一枚(笑)

 それで「みんなのハッピーバースデイ」というサブタイトルには、やはり、震災後の作品=命を慈しむもの、そして生あるものには皆誕生日がある、ということがこめられています。これをあまり強調するのも恥ずかしいですが。

──会場が「元」プラネタリウムというのもおもしろい。

 残念ながら投影機は実際には動かないのですが、ここは星空を創り出すための空間ですし、みんなで一緒に「ことばの星空」を作りたいです。ことばも宇宙も無限なところが共通点だと思う。

──最後に一言「メッセージ」をお願いします。

 その紋切り型の「最後お決まりメッセージ」嫌いだって言ってたじゃないですか。それなのに僕には言わせるの!? まあいいか。道具はなにもなくてもすぐにみんなで遊べるのが「ことば」。皆さん頭を柔らかくして、鑑賞するのではなく、遊びに来てください。老若男女の皆さん、お待ちしています!

※二瓶龍彦氏は演出家ですが、ミュージシャンでもあります。氏がリーダーのGuelb er Richat ensembleの演奏は下記YOU TUBEをご覧ください。また、「caravan La Baracca(バルラッカ)」というユニットを率いて全国巡演中です。

■『フェデリコのバルラカ』Guelb er Richat ensemble(二瓶氏はギター担当)
https://www.youtube.com/watch?v=VeaoJiRCj_k