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アルコールやたばこと同じような依存性があるカフェイン。メーカーにとっては売り上げに影響することだが、コーヒーだけでなくジュースやお菓子、錠剤など身近なあらゆる製品にカフェインは含まれており、知らないうちに取り過ぎている場合も……。カフェインの過剰摂取による中毒症状や持続時間、特に注意したい食品について薬物依存の専門家に聞いた。

【図版】カフェイン取り過ぎチェックリスト、主な飲料・食品に含まれるカフェイン量(全2枚)

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 社会人の心強い味方であるカフェイン。中枢神経系を興奮させて集中力を高める一方、多用により急性中毒や中毒死に至った例もあり、取り過ぎには注意したい。

「カフェインは依存性薬物の一種。大麻や覚醒剤に比べて安全とはいえ『慣れ』が生じるのが早く、同じ量を摂取しても次第に効き目が薄れてきます。あまりにも日常的すぎて、デメリットを意識しないまま健康に害がある量を摂取してしまっていることが問題です」

 こう語るのは、薬物依存研究の第一人者である国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦医師。松本医師は、疲れを吹き飛ばすためにカフェインを摂っているつもりが、カフェインのせいで逆に疲労や不調を蓄積させている場合もあると指摘する。

 チェックリストに当てはまる項目が多い場合、カフェインの取り過ぎを疑ったほうがよさそうだ。

 カフェインによる悪影響で最も多いのが睡眠障害。急性中毒には動悸、不整脈、高血圧、パニック発作、急に胸が高まるような恐怖感、不安感が挙げられる。また、長期にわたり大量に摂取している人に見られるのが、慢性的な疲労感だ。

 カフェインを摂取しているのに、全身がだるい、疲労感が抜けない、ネガティブな考えになってしまう。また、カフェインの効果が切れた後、長く眠り過ぎたり、いくら眠っても疲れが取れなくなったりする。こうした症状が見られる人は、日々のカフェイン量を見直したほうがよいだろう。

「摂取して安全なカフェイン量」に明確な基準はない

 とはいえ巷には「1日に飲んでいいのはコーヒー3~4杯程度」「コーヒーを1日5杯以上飲む人は肝がんの発生率が低い」などの情報が飛び交い、何を信じてよいのかわかりにくい。

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一般的には1日1000mgを超えると中毒症状が起きる