家族でも友達でも恋人でも、その人と出会うまでには数々の選択や分かれ道があって、その積み重ねの上に「今の私とあなた」がいます。もちろん、全ての選択が正しいなんてことはなくて、後悔することもたくさんあると思うんです。でも、本当に大切に想える人に出会えたときに、それまでのつらいことや悲しい出来事も全部ひっくるめて、「これでよかったんだ」って自分の人生を肯定できる。そんな出会いが人生にもたらす奇跡と希望をこの歌には込めたつもりです。
自分の心に誠実に
――幾田自身も、普段から「人生に訪れる出来事は全て天からの授けものだと思っている」そうだ。
幾田:学生のときって、様々な性格の人たちと同じ環境で過ごすことがあると思うんですが、それを窮屈に感じることもあって。そんなとき、家族はいつも「自分の心に誠実に生きていけば、きっと心地良い人や場所に出会えるよ」って言ってくれて。だからどんな場所にいても自分のことを大切にできたし、「ここの世界しかないんだ」って思い詰めずに外の世界にも目を向けられました。いい意味でフラットな視点を持てるようになったのかなと思います。
(ライター・澤田憲)
※AERA 2023年10月2日号より抜粋