本書は池上彰氏とともにNHKの番組「週刊こどもニュース」の制作にかかわってきたディレクターが、ニュースの見方・読み方について綴った一冊だ。
世間一般ではニュースを知っているのが「社会常識」でも、正直なところ興味の持てない人も多いかもしれない。ご安心を。著者は前提知識やコツがわからなければニュースは「つまらなくて当たり前」と断言する。その上で、前半ではニュースの種類やジャーナリストの仕事内容など、読者が抱きそうな素朴な疑問をしっかり解説。例えば「ニュースがなくても生きていける!?」という疑問に対しては報道機関が存在しないため困った南スーダンの例を挙げ、国民の手でニュースを出すことは「独立国の必要条件」と説く。後半では、STAP細胞問題など近年の事件報道に言及しつつ、ニュース報道の見方・伝え方を伝授する。
長年「伝える」仕事に携わってきた著者だけあって、いずれも短い分量で要点を押さえた読みやすい解説だ。巻末に池上氏のメッセージつき。
※週刊朝日 2015年5月29日号