「子どもたちはみな将来やりたい仕事を決め、それに向かって大学に進学したいと言っています。私が頑張るしかないと思い、腹をくくっています」
「200万円未満」で
低収入にあえぎ、生活のために副業をせざるを得ない人は少なくない。
労働政策研究・研修機構が昨年行った副業に関する調査では、副業をする理由(複数回答)は「収入を増やしたいから」が54.5%と最も多くなった。
副業に詳しく、『「副業」の研究』の著書もある東洋大学の川上淳之(あつし)教授(労働経済学)は、「副業は所得の低い人の問題だ」と指摘する。
「本業の年収が200万円未満の低所得層の人の副業が伸びています」
川上教授が2017年と22年とで副業をしている人の割合を調べたところ、年収200万円超の層にはあまり変化がなかったが、年収200万円未満の層は約2%増えていた。
「00年代以降の変化として、一つは働き方改革によって正社員にも副業が基本的に認められたことがあります。一方で、非正規雇用の割合が高まり、コロナ禍で会社が時短になったりして収入が減ったことや物価高も影響し、副業を始めたと考えられます」
と話す川上教授は、副業で収入を確保できる点では望ましいが、収入のみを目的とする副業は幸福感を高めず、健康面でリスクも生まれると指摘する。
「副業をすることで労働時間が長くなり、健康上のリスクが増します。とくに、本業の仕事が終わりすぐ深夜の時間帯に働く働き方は、肉体面だけでなく、精神面でもよくありません」(編集部・野村昌二)
※AERA 2023年10月2日号より抜粋