右肩下がりの経済、SNSの普及による人間関係の複雑化──。誰もが「7040」「8050」の当事者になりうる時代だ(写真:gettyimages) ※写真はイメージ
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 高齢化した親子の存在が社会課題になっている一方で、長年のひきこもり生活から抜け出した人もいる。ある40代男性は、23年間にわたるひきこもりから脱出した。AERA 2023年9月25日号から。

【図】現在の外出状況になった主な理由がこちら

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「最後は『きっかけ』でした」

 こう話すのは、中学2年から23年間、ほぼ自宅を出ない「完全ひきこもり」だった京都市の板垣修平さん(48)だ。ずっと外に出たい、学校へ行きたい、働きたいという想いを抱えていたという。高校入学、大学入学、成人式、25歳、30歳──。区切りがくる度に行動しようとしては、周囲の目が気になったり、自信がなかったりして動き出せなかった。その度に「死にたい。こんなはずじゃなかった」と葛藤したという。

「ずっとタイミングを待っていた」という板垣さんが、自宅を出たのは37歳の時だ。母が心筋梗塞で倒れ、病院に駆けつけた。

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