職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。
気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた『気づかいの壁』の著者、川原礼子さんが、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介します。
「最初の15秒」に話すこと
ビジネスシーンでは、何を話せばいいかを迷い、「沈黙が流れる瞬間」があります。
たとえば、会議がはじまる前を考えてみましょう。
進行担当が会議室を開け、参加者がパラパラと入室してくるあたりです。
シーンと静まり返って、進行担当の視線が共有資料や参加者の入室状況確認に向けられている、あの時間。
間が持たなくて苦手な人が多いと思います。
他にも、「電話営業の最初のトーク」や「名刺交換をした後の数秒」もそうですよね。
人の印象は、最初の15秒で決まると言われています。
特に、電話営業では、つながってからの15秒が最初の関門で、いかに「この人だったら少し話を聞いてみよう」という気持ちになってもらうかが重要です。
まさにこのタイミングが、気づかいの壁を越える瞬間です。
この15秒を制するには、どうすればいいのでしょうか。
自分に「刷り込む」ように名前を呼ぶ
「ネームコーリング効果」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
その名のとおり、相手の名前を呼ぶことです。
「おはようございます」より「〇〇さん、おはようございます」と、自分の名前を呼んでもらったほうが親近感がわいて、グッと距離が縮まったような気持ちがします。
初参加の人ならば、「はじめまして」のあいさつをするキッカケにもなりますし、私の経験では、相手の名前を呼びかけると、相手からも「川原さん、おはようございます」と返ってきます。
初対面で名刺交換をした後もそうです。
意識して、相手の名前を何回か口にするくらいでちょうどいいのです。
「○○さん、いまお忙しいですか?」
「○○さんの部署は、何名くらい、いらっしゃるんですか?」
「○○さん、ご出身はどちらですか?」
というように、相手の名前を確かめるように会話をするようにしてみましょう。
名刺交換をして、少し時間が経ってしまったのに、手元の名刺を見返しながら、「えーっと、○○さんは……」と会話をつなぐような人がいます。
それでは遅いのです。
最初の段階で名前を何度も繰り返し、後々、相手の顔を見るだけでスッと名前が出てくるようにすると好印象です。
特に、相手が「若い人」であれば、名前を呼ばれることは嬉しいものです。
喜んでいるようには見えなくても、心の中では自尊心が高まります。
「相手の名前は、自分が覚えるために、やや多めに呼ぶくらいで、ちょうどいい」。
そう考えると、自分の心の壁を越えられると思います。