創業130年の老舗「磯の澤酒造」が営む「うきは酒宿いそのさわ」。宿泊客は「酒米」になりきるのがルール。シャワーは「洗米」、サウナは「浸漬蒸米」
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「サ旅」とは、日本全国にあるサウナをめぐる旅。旅の目的はもちろんサウナだが、今夏発売されたムック「サ旅2024 サウナ&スパ&日帰り温泉&スーパー銭湯」では、サウナを軸に観光名所や名物グルメなど、その土地をまるっと満喫する10のベストプランを提案している。

【写真】1日1組限定!日本酒飲み放題の酒宿自慢の大吟醸はこちら

 今回は、そのベストプランの中から3つをまるごと公開。9月16日に公開した北海道編 客室サウナ×雲海の至福!旅は「サウナときどき観光」が新しい 、17日に公開した 個性派サウナ×昭和レトロな新世界!旅は「サウナときどき観光」が新しい に続き、酒造が営む酒宿でサウナと日本酒に酔いしれる福岡編をお届けしたい。

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「博多一幸舎 博多デイトス店」は博多駅の中にあるので旅の途中にも立ち寄りやすい。「元祖泡系」と記された大きなちょうちんが目印

 せっかくの九州旅ということで、まずは博多駅で腹ごしらえ。名物の豚骨ラーメンをいただく。その後はJR特急ゆふに乗り、のどかな田園風景を眺めながら1時間。目指すのは、福岡県南東部、大分県との境にある「うきは市」にある「酒宿」だ。

「うきは酒宿いそのさわ」は、明治26年創業の「磯の澤酒造」が営む1日1組限定の一棟貸し宿。うきは駅から徒歩4分ほどのところにあり、滞在中は「磯の澤」の日本酒を好きなだけ飲むことができるうえ、サウナも好きな時に好きなだけ入ることができる。

「うきは酒宿いそのさわ」の酒樽に見立てたバレルサウナ。セルフロウリュで湿度を上げれば、体の芯まで温まる。ここでは整いの時間を「酒母づくり」と呼ぶ

 料理にもサウナの水風呂にも、すべて日本酒の仕込み水を使用。サウナは酒樽、お風呂は醸造タンク、サウナドリンクは酒粕の甘い香りが鼻に抜ける「酒粕バナナスムージー」と、随所に酒造らしさが感じられる。日本酒好きにはたまらない、極上の宿だ。

栄養満点の「うきは酒宿いそのさわ」の朝食。「酵の鶏」はうきは市内の農場で健やかに育った鶏が産んだ卵。淡い色合いとはうって変わって、味は濃厚

 2日目は、目覚めのサウナ1セットを満喫してから、地元うきはの食材を使った朝食をいただく。地元豆腐店の寄せ豆腐やかまどで炊いたご飯など滋味深い味わいが体にしみる。滞在中は飲み放題なので、朝から日本酒もOK。フロントで販売もしているので、気に入った銘柄をお土産に購入するのもお勧めだ。

 チェックアウトしたら、うきは市中心部の白壁の町並みへと向かう。豊後街道沿いに残る漆喰(しっくい)塗りの土蔵造りが立ち並ぶ町並みは、重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている。江戸時代の宿場町としてにぎわっていたころの面影が色濃く残り、歩いているだけでタイムスリップしたような気分になれる。

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チェックインカウンターは「精米」