この記事の写真をすべて見る

超広角高性能大口径レンズ

 35mm判換算画角で24mm相当。開放F1.4というXシリーズ用の単焦点レンズだ。被写界深度が深い焦点域だが、開放F1.4という大口径としたことで、低照度下の撮影に余裕をもたらしたほか、とくに至近距離での撮影では大きなボケ効果を得ることができる。このレンズでは設計にムリをしたという印象をいっさい受けない。やはりAPS-Cサイズセンサーに特化したレンズだからこそ実現できた描写特性と大きさであり、XFの正しい方向性だろう。
 最短撮影距離は0.15mで、この焦点域を含むズームレンズとの差別化に成功している。
 フォーカス群を二つに分け、撮影距離に応じて連動して駆動するフローティングフォーカスシステムを採用しているという。このため撮影距離による性能変化を抑えていることも特徴だ。また歪曲収差補正をカメラ内の補正に頼っていないという。第1面にナノGIコートを施した11群13枚構成、非球面2枚、EDガラス2枚というコストを無視したかのようなぜいたくさを感じる。
 今回使ったのは試作品だったが、新しい世界を開拓できる可能性のあるレンズという印象をもった。

最短撮影距離で絞り開放という欠点が露呈する条件だが、大口径レンズ特有のハロやにじみもない。ボケ味も素直。画角が広く、かつ深度が浅いので、まるでミニチュアモードで撮影したかのようだ。X-T1は電子シャッターへ切り替えれば日中晴天下でも開放絞りが使える●X-T1・絞り優先AE(絞りf1.4・1万500分の1秒・-0.3補正)・ISO200・AWB・RAW
最短撮影距離で絞り開放という欠点が露呈する条件だが、大口径レンズ特有のハロやにじみもない。ボケ味も素直。画角が広く、かつ深度が浅いので、まるでミニチュアモードで撮影したかのようだ。X-T1は電子シャッターへ切り替えれば日中晴天下でも開放絞りが使える●X-T1・絞り優先AE(絞りf1.4・1万500分の1秒・-0.3補正)・ISO200・AWB・RAW



デザイン
XF23mmF1.4Rと似た雰囲気。花形フードは同梱。防塵・防滴・耐低温構造を採用。MF時に距離指標が表示され、スナップショットに効果を発揮するが、目盛り数値が粗いのは残念

使用感・操作感
AFのスピードはきわめて速く、撮影は快適。作り込みはしっかりとしている。見かけはやや大きいが重量は約375gで、使用したX-T1とのバランスは悪くない

描写性
35mm判換算で24mm相当の画角でF1.4というスペックのレンズは他社にもあるが、このクラスでは最高のレベルといえる。開放値近辺の描写はズームレンズとは異なる個性を感じる

◆赤城耕一


* * *
●焦点距離・F値:16mmF1.4●レンズ構成:11群13枚(非球面レンズ2枚、異常分散ガラス2枚)●最短撮影距離:15cm●最大撮影倍率:0.21倍●画角:83.2°●フィルター径:Φ67mm●大きさ・重さ:Φ73.4×73mm・約375g●価格:オープン(予想実売 税別約12万円)