レッスンの終盤では、ボクがプレッシャーに押しつぶされそうになってしまって、「今日はピアノを弾きたくない」とわがままを言った時もあったんだけど、そんな時も、無理に弾かせようとはせずに、「じゃあ、お茶でもしましょう」と気分転換させてくれたのも、ありがたかった。「こんなにボクに尽くしてくれる中村姉妹のために、もっと頑張らなきゃ」、そんな思いが、日に日に強くなっていったのも、自分の中では大きな変化だった。
10日間のレッスンを無事に終え、後日、カンニング竹山さんと、お客さんの前で「戦場のメリークリスマス」を交互に演奏。今、思い出しても、あの時の緊張は、ほんと、えぐかったよ。
対決の結果はというと、ボクは勝つことができた。あの時に感じた感動は、今でも忘れられないね。「習い事は楽しくない」って概念が完全に覆った瞬間だった。番組終了後に、中村姉妹は、なんとボクに電子ピアノまでプレゼントしてくれたし。ボクを変えてくれた中村姉妹には、ほんと感謝しかない。
きっと、世の中には、「子どもが習い事をすぐにやめてしまう」って悩んでいる親もたくさんいるんだろうな。かつてのボクの母親のように(笑)。子どもって、基本的には飽きやすい性格だから、ほんと難しいだろうけど、親や周囲が、子どもを「褒める姿勢」というのは、すごく大事なことだなと改めて感じる。この連載を読んでいる人の中に、もし、子どもの習い事で悩んでいる親御さんがいるのなら、もう、とことん褒めまくってみてはどうかな。あまり難しく考えず、まずは、子どものモチベーションをあげてみることだけに注力してみると良いかもしれない。もしかしたら、ボクのように、180度考え方が変わる可能性もあるから(笑)。
まあでも、ボクもいつか親になったら、自分の母親と同じように悩む日がくるんだろうな。ボクの勝手な理想だけをいえば、もし、子どもが男の子だったら、空手や日本拳法。女の子だったらダンス、バレエ、ピアノをやらせてみたい。女の子は、将来的にアイドルになってほしいって願望があるから、ダンスやバレエは習っておいて損はないからね。男の子は、ボクの専属SPにさせたいって思っているから、単純に、強くなっていてほしい。やっぱり他人にSPをやってもらうのっていまいち信用できないからね(笑)。でも、あんまり子どもに理想を押し付け過ぎないように、ボクも注意しなきゃだしん。
さて、今日も自宅で筋トレ頑張ろう。トレーナー!今日も大げさに褒めまくってね!
(構成/AERA dot.編集部・岡本直也)