安定した味と財布にやさしい価格で、多くの人に親しまれている駅そば店。駅利用者の減少や後継者不足などから、閉店してしまう店舗もある。駅そばをめぐる状況は厳しいが、味を守り続ける老舗店がある。AERA 2023年9月4日号より。
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駅そば店が減っている。価格を抑え、数で勝負の薄利多売というビジネスモデルが駅利用者の減少により、成り立たなくなってきたからだ。また、経営者やお店を運営する人の高齢化で後を継ぐ人がおらず、閉店してしまう例もある。さらにコロナ禍で企業ではリモートワークが推奨され鉄道を利用する人も減っているという状況もある。
駅そばをめぐる状況はきびしいのは事実であるが、長く続いている店もある。
「現存している中では東神奈川駅(神奈川県)の『日栄軒』が一番歴史ある駅そばのお店だと思われます。創業が1918年ですから、100年以上続いていますね」
そう紹介してくれたのは『東西「駅そば」探訪』という著書もある駅そば研究家の鈴木弘毅さんだ。鈴木さんは25年以上かけて1万杯以上の全国の駅そばを食べ歩いている。
「日栄軒」では、穴子天そば(600円)がおすすめと鈴木さん。器からはみ出るほどの大きな穴子天は、ふんわりとした食感で、そばのつゆにマッチする。