「弥生軒」の代表社員である植崎和基さんによると、「うちは駅のすぐ近くに工場があり、そばはそこで打っています。カツオ節を削り、だしを取ってつゆをつくり、いつもできたてをお店に出しています。添加物は使いません。手間はかかりますが、おいしいそばを食べてほしいのですべて自分たちでつくっています。昔はイカの天ぷらを載せていましたが、イカが高くなって、試しに唐揚げにしたら、これが受けました」。
よい変化も起きている
唐揚げは大きさが話題になり、その声に応えるように少しずつ大きくなっていったそうだ。弥生軒は、かつて画家の山下清が働いていたことでもよく知られている。
「1月2日、お正月だから早めにお店を閉めようとしたら駆け込んでくるお客さんがいました。『ここを目指して大阪から来ました。開いていてよかったです』と聞き、これからももっと精進しようと心に誓いました」(植崎さん)
(ライター・鮎川哲也)
※AERA 2023年9月4日号より抜粋