雨を降らせたとしても
水不足のときに人工的に雨を降らしてくれるのであれば、非常に素晴らしい装置のように思える。
人工降雨に詳しい気象庁気象研究所の折笠成宏さんは、
「現在の技術では効果測定が難しい現状がありますが、シミュレーションでは小河内ダムで暖候期(4~9月)に装置を稼働した場合の増雨効果は、平均で約5%あるとしています。適切な気象条件が整えば、増雨効果が見込まれるということです」
と話す。
しかし、話はそう簡単ではないようだ。折笠さんは「発煙すれば必ず増雨になるわけではない」と説明する。
人工降雨装置が効果を発揮するためには、適切な気象条件が必要になる。例えば、雨を降らせるのに適した雲がダムの上空になければならない。また、雲まで上昇する気流がなければ、ヨウ化銀が狙った雲に届かない。
折笠さんは指摘する。
「人工降雨装置が渇水を解決してくれるわけではありません。まとまった雨が降るまで、住民のほうでも節水するなどの対策が重要になってきます」