山田まりや(撮影/篠塚ようこ)

――今の社会に閉塞感を感じている人は多いと思います。

 世界的にみれば、日本は恵まれた国だと思います。食べ物があふれているし、衛生的。トイレがこんなにきれいな国は他にないですよ。世界には食べるもの、着るものに困っている人がたくさんいます。明日から10歳の息子とセブ島に行くのですが、リゾート地というイメージとかけ離れた現実を知ってもらいたいという思いがあります。ある地区に住んでいる人たちは朝にゴミ山へ食料を探しに行きます。ケンタッキーのチキンの食べカスを拾って、もう一回調理して食べている。こんな状況で生活している親子がたくさんいるんです。この過酷な現実に目をそらさず、ムネ君に「さあ、あなたはどう思う?」ってクエスチョンを投げかけたい。決して人ごとと捉えてはいけないと思います。

――世界を知ることで、日本で暮らす日常生活の捉え方が変わるかもしれませんね。

 もちろん、日本で物欲が満たされていても、家と学校を往復するだけで精神的にはがんじがらめの苦しい思いをしている方も多いと思います。ただ、世界は広いです。日本の常識が世界で通用せず、世界の常識が日本で「え?」というケースがたくさんある。答えは1つじゃない。日本以外の世界を知ることで、居心地が良い環境が見つかるかもしれない。英語ができれば多くの国で現地の方々とコミュニケーションが取れるし、今だったらグーグル翻訳などでも意思疎通ができる。視野を広げるという意味で、世界中の人たちとふれあうことが大事だと思います。

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