※写真はイメージです(gettyimages)

 夏場に人を悩ます蚊は、暑すぎると活動が弱まるという。今年は猛暑が続く。「そういえば蚊をあまり見かけない」といった声も聞く。だとすると、蚊取り線香や蚊取り器などの対策商品は売れなくなってしまうのか。メーカーの業績との関係を調べてみた。

【表】猛暑日の数と殺虫剤の売れ行きの関係は?

 大手殺虫剤メーカー、フマキラーの広報担当者は「一般的に、蚊は気温25~30度を好み、35度を超えると血を吸う意欲は衰えるとされています」と話す。このため、殺虫剤など対策商品の売れ行きにも影響を及ぼすと言われることもあった。

 実際はどうなのか。その年の猛暑日の数と対策商品の売り上げの関係を調べるため、北海道の網走や千葉の銚子、石垣島といった都市化の影響を受けにくい全国13地点を対象とした気象庁のデータと、主な殺虫剤メーカーの過去の業績を比べてみた。

 その結果、例えば猛暑日が前の年の約1.9日から約7.1日に一気に増えた2018年は、アース製薬、フマキラーとも、殺虫剤を扱う部門の売上高はそろって減った。猛暑で蚊の活動が鈍り、対策商品の売り上げが落ちたと言えるかもしれない。

 アース製薬の虫ケア用品部門の18年12月期の売上高は567億1900万円で、前の期に比べて約4.8%減少した。フマキラーの殺虫剤部門は同2割近く減った(19年3月期)。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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