(※イメージ写真) @@写禁
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 4月2日、「Google社が東大で青田刈り」というニュースが報じられた。記事によるとGoogle社は数年前から役員数十人に東京大学を訪問させ、優秀な大学院生をリクルートしているという。

 その条件を聞いて驚いた。年収約15万ドル(約1800万円)という破格の条件提示だという。日本企業に就職すれば、その数分の1の年収しかもらえないだろう。これではいくら日本企業に就職してほしいと思っても、比較にならない。

 そもそも日本は、「技術立国」ではなかっただろうか。ところが、2000年代前半には、韓国・サムスン社による日本企業の技術者のヘッドハンティングが相次いだ。その結果、技術だけ持ち去られて、数年後に解雇されたケースも少なくなかったという。

 もっと以前から、かつて日本企業の技術が世界に認められていた半導体分野でも技術者が流出し、日本企業が「自社技術を無断で盗用された」と訴訟を起こすケースもあった。問題は、人材の流出そのものは法に反するものではないということだ。別段、その技術者が既存技術を持ちださなくても、優秀な技術者ならば受け入れ先は世界中にある。結果として日本の技術力は低下していくことになってしまう。
 なにも企業で働いている技術者に止まらない。例えば、ノーベル賞受賞者の経歴を確認してみるといい。2014年に青色発光ダイオードの発明でノーベル物理学賞を受賞した3名のうち、中村修二博士はすでに米国籍を取得、活動拠点をアメリカに置いている。国籍は日本のままでも、日本で大学院を卒業後、海外に出たまま研究拠点を海外に置く研究者も多い。先端研究をするために海外留学をするのはいいが、その後も日本に戻らないケースが多いのだ。

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