アリが好むものとして、ポテトチップスやシーチキン、ピーナッツバターなどが挙げられたが、甘いものの「代表」であり、油脂分も含んでいるチョコレートは、アリの捕獲には使わないという。
「アリはチョコを好みません」
と、村上さんは言う。
「苦み成分が、アリの好みではないと言われています。また、捕獲する側としてもチョコはベタベタして使い勝手が悪いです。実は、シーチキンはアリが好むのですが、缶が重くて、調査で大量に使うには大変だという難点があります。他方で、ポテトチップスなど乾物はアリも好みますし使い勝手がいいので、よく使われています」
アリの嫌いな刺激物
しかし、アリは「舌」で「好き嫌い」を区別しているわけではない。アリは、視力は弱いが優れた触角があり、これで匂いを感知して「好き嫌い」を判断しているのだという。
そんなアリには嫌いなものがいくつかある。ワサビや唐辛子、酢、お茶の成分であるカテキン、桜の匂いの成分であるクマリン、ミントなどに含まれるハッカ油などだ。刺激のあるものや、においがきついものが嫌いらしい。
「ワサビやハッカなどは、アリに限らず生き物全般が嫌っています。こういったものを食べたり、体につけたりするのは人間くらいです。そういった意味では、人間のほうが変わっているのかもしれません」(村上准教授)
夏休みの自由研究に「アリの好み」というテーマもありかもしれない。
(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)