多賀幹子
ヘンリー王子（38）が8月9日に東京ビッグサイトで開かれる「ISPS（一般社団法人国際スポーツ振興協会）・スポーツの力 特別サミット」に出席するために来日する。12日にはシンガポールで親善ポロ試合を行う予定だ。メーガンさん（42）の同行はない。これも、このところしきりと流れる夫妻の不仲説に拍車をかけている。
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王子はイートン校卒業後、ギャップイヤーを取って英連邦の一つアフリカのレソト王国に行った。そこでセーイソ王子の話を聞く。子どもたちの厳しい状況に心を寄せ、慈善団体「サンタバリー」をセーイソ王子と2006年に創設した。レソトはエイズ感染者の割合が高く、エイズなどで両親を失った孤児は30万人を超すとされる。サンタバリーとは、レソトの公用語ソト語で「忘れな草」の意味。子どもたちのことを忘れないとの決意を込めて名づけられた。
ヘンリー王子の母ダイアナ元妃は、かつてエイズに苦しむ人々に手を差し伸べた。当時エイズは解明が進まず不治の病と恐れられただけに、妃が素手で患者と握手した姿は強い印象を与えた。王子は、「母は自分のことを誇りに思ってくれる」と話している。
サンタバリーとISPSのイベントの一つとして、2010年からポロの試合が行われてきた。寄付金は、エイズなどに苦しむ子どもたちのサポートにあてられる。王子は「彼らに力を与えたい。皆さんの協力に感謝しますが、特にISPS HANDAの協力はありがたく思います」と述べている。サミット当日のチケットには、「本サミットの収入は、全てサンタバリーの支援にあてられます」と明記してあった。
ヘンリー王子の来日は今回で２度目だ。初回は2019年11月、ラグビーワールドカップ決勝の観戦にイングランドのラグビー協会名誉総裁として訪れたものだった。王室離脱発表のわずか2カ月前のことである。ちなみに離脱後、協会の名誉総裁はキャサリン皇太子妃（41）に移っている。
今回へンリー王子の警備に関心が集まる。AERA dot.の8月6日配信のネット記事によると、ISPSの担当者は、王子周辺の身辺警護は王子側が依頼した警備会社が、会場警備は主催者のISPSが依頼した警備会社が担当し、それぞれが費用を支払うと回答している。続けて、王子がいつどの便で来日して、どこに宿泊するかなどは公表されていないと話す。
王室離脱をしても、国王の息子で王位継承順位は5位だ。日英関係のためにも全く何もしないわけにはいかないだろう。今年1月発売の回顧録『スペア』には、王子がタリバン兵を25人殺害したとの記述があり、イスラム過激派は報復を誓う声明を発表している。
その王子だが、先日経済的な行き詰まりを覚え、英王室に帰るためウィリアム皇太子（41）に電話を入れた。しかし、王室から芳しい返事はなく、チャールズ国王（74）からはこの夏にバルモラル城に招待されただけ。メーガンさんの8月4日の42歳の誕生日には王室からのお祝いメッセージも初めて発表されなかった。仕事もよいニュースは入らず、友人は次々と去り、別居や離婚のうわさが流れる。
王子とメーガンさんのイメージ回復のため、いくつかの試みが矢継ぎ早に行われている。まず先日、二人が立ち上げた「アーチウェル財団」が加わる組織から助成金を受ける26団体が選ばれた。テクノロジーのより安全な将来に取り組む活動が評価されてのことだ。二人はお祝いの電話をかけた。自宅の庭で小さめの長椅子に座る。王子は時々彼女に視線を送るのだが、メーガンさんは一度も目を合わせなかった。アイコンタクトもタッチもないのはあまりに不自然と指摘されている。「メーガンさんは王子に関心を失っている」とイギリスのメディアは書いた。さらに電話の中で、王子が「私たちの子どもは感謝します」と言うと、メーガンさんは「子どもたちはまだ理解できません」とまず否定、その後「将来はわかると思います」と付け加えた。また二人はメーガンさんの誕生日前の夜にイタリアンレストランに行ったり、9月のドイツでのインビクタスゲームにメーガンさんが同行すると発表したりした。関係改善アピールの懸命の仲良し作戦。一時的な取り繕いで不仲説は払拭できるだろうか。
（ジャーナリスト・多賀幹子）
※AERAオンライン限定記事
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