「ブリキのおもちゃ博物館」に展示した、ダイナーとドライブインのジオラマ(写真/北原照久)
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 隔週刊「トミカ 歴代名車COLLECTION」は、タカラトミーが厳選した歴代名車を、その詳細を解説したマガジンとともにお届けするシリーズ。スポーツカーからはたらく車まで、毎号付いてくるトミカはオリジナルデザインで、これを集めると、唯一無二のトミカ・コレクションが完成する。

【動画】6号に収録の「マツダ コスモスポーツ」はこちら

 創刊を記念して、マガジン巻末に収録されるリレーコラム「My car, My mini car」をAERAdot.にも配信。「マツダ コスモスポーツ」を取り上げた8月8日発売の6号のコラムは、ブリキのおもちゃ博物館の北原照久館長による「次世代へと残したいおもちゃたち」だ。

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 横浜にオープンした初めてのブリキのおもちゃ博物館は、ボロボロだった古い洋館を改装した建物でした。

 忘れもしない東京の江東区越中島から引越しをした1986年3月26日。3月後半だというのに午前中から降り始めた雪が、首都高速で横浜に向かう途中、あっという間に大雪になり、途中で自分の車を諦め、たまたま一緒にいた友人のチェーンの付いた車に家族3人乗り移り、なんとかたどり着きました。まだ、改装中の博物館のドアの隙間からは、雪が舞い込み、キッチンのガスレンジで暖をとる前途多難な幕開けでした。

 そして予定通り無事に4月7日、「ブリキのおもちゃ博物館」は、異国情緒溢れる横浜山手の外国人墓地すぐそばにオープンしました。

 博物館に入ってすぐ目につくのは、2メートル四方のジョージ・ルーカス監督の映画「アメリカングラフティ」(1973年)をイメージしたダイナーとドライブインのジオラマ(上の写真)で、広い駐車場には、日本製のブリキのアメ車などが25台勢揃い。それはアメリカが最もアメリカらしかった時代を象徴するようなクルマばかり。ダイナーの店内には、ローラースケートを履いて注文を取りに来るウエイトレスやフィフティーズファッションの若者のフィギュア、ジュークボックスなど、当時の活気ある様子や音楽が聞こえてきそうな空間を演出しています。このジオラマは、“スタジオ641”が特別に制作してくれました。

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まるで美術品のような赤いサンダーバード