「ここ西成(にしなり)のモーニングをご存じですか?」と八十田さんが指さした先には、“生ビール 玉子と一品380円 朝9時~昼12時”と書かれた看板があった。「この辺の居酒屋は朝8時頃から営業している店も多くて、ご機嫌なおっちゃんたちが朝早くからたくさんいるんです。早起きで健康的(?)ですよね!(笑)」と、ユーモアを交えた地元ガイドが続く。

「西成モーニング」の看板。ハイボールも4杯目から安くなるようだ

 国内外からの観光客でにぎわう“新世界”の通りを歩いていると、偶然、顔なじみだという観光人力車「俥天力(しゃてんりき)」の俥夫と出くわした。「こんにちは~! もうかってまっか?」「ぼちぼちでんな~!」と、コテコテの大阪流あいさつを披露してくれた。ガイドブックには載っていないローカルな老舗商店街「新世界市場」に足を踏み入れると、ひと際目を引くのは派手なヒョウ柄専門店「なにわ小町」。名物店主との立ち話に花が咲き、お決まりの“ガォー!”のポーズで記念撮影もできた。

「なにわ小町」のオーナー(左)。ヒョウ柄好きが高じてお店をオープンした
 
新世界市場の屋台でご機嫌に飲んでいた常連さんたち。温かく迎えてくれた

 街の歴史や文化を知りながら観光を楽しめるだけでなく、OMOレンジャーのアテンドで地元の人たちとも気さくにふれあえる、個人旅行ではなかなかできない体験ができるのがこのツアーの醍醐味(だいごみ)だ。

300年以上の歴史ある卸売市場で朝活

 よりディープな場所に行きたいなら、「ええだし出てますわツアー」もおすすめだ。大阪の割烹(かっぽう)や旅館などプロの料理人が仕入れに訪れる「木津卸売市場」を舞台に、関西の“だし文化”を学ぶことができる。300年以上の歴史がある市場だが、一般人でも買い物ができることは意外と知られていない。早朝7時30分からスタートするツアーのため、朝活としても人気が高い。

木津卸売市場には、海鮮丼専門店など飲食店や温浴施設もある
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スーパーに出回らない野菜たち