本州以南では今、スギ花粉がピークを迎えています。そこで注目されるのが、スギが生えていない北海道。道南をのぞく北海道にはスギの木がほとんどないのでスギ花粉が飛びません。スギ花粉から逃れるために、この時期、北海道に「避難」する人もいるとか。ところが、そんな北海道にも花粉症があります。それは、ハンノキやシラカバの花粉です。遅い春を迎える北海道にも、とうとう花粉の季節が到来です。
この記事の写真をすべて見るハンノキもシラカバも “カバノキ科”。スギ花粉症のように、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ…
北海道では道南をのぞいてスギがほとんどないので、スギ花粉に悩まされることはありません。しかし、今年は2月に暖かい日が続いたので、例年なら3月中旬から飛散するハンノキの花粉が、早くも2月の下旬から観測されています。
そして、4月にはとうとうシラカバ花粉の季節が始まります。
ハンノキもシラカバも、どちらもカバノキ科の木です。写真で見ると、花粉を飛ばす雄花の垂れ下がった形がよく似ています。
ハンノキは主に湿地や沼地に自生し、日本全国に分布しています。花粉は北海道では3月中旬ころから飛びはじめます。一方、シラカバは主に北海道や長野県に分布し、4月下旬から6月にかけてが花粉のピークです。最近では、このシラカバ花粉症に悩む道民が多く見られます。
症状は、スギと同じように、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ。そしてもう一つ、スギ花粉症にはない重大な症状があります。それは…。
シラカバ花粉症の人は、リンゴなどの果物を食べると口がかゆくなる
ハンノキやシラカバ花粉症の人は、ある特定の果物を食べると、口の中がかゆくなります。それはバラ科の果物です。リンゴをはじめ、サクランボ、ナシ、モモ、イチゴ、アンズ、ビワ、ウメ、ラズベリー、アーモンドなどがバラ科の果物です。
症状がひどい人は、口の中がかゆくなるだけでなく、イガイガしたり、口内の粘膜やノドが腫れたり、ときにはジンマシンが出たりもします。
なぜ、シラカバ花粉症の人は、バラ科の果物を食べると口がかゆくなるのでしょう。それは、バラ科の果物のタンパク質の構造が、シラカバ花粉のタンパク質の構造と、よく似ているからです。バラ科の果物を口にすると、体の中で「シラカバ花粉が入ってきた」と勘違いするので、アレルギー症状を引き起こすというわけです。
しかし、これらの果物も、焼いたり加熱したりすると症状が出ないことがあります。果物を加熱するとなると、食べる方法が限定されますが、工夫しだいですね。なお、リンゴジュースやリンゴジャムは加熱してあるので、アレルギー症状が起こらない場合があります。
「北海道にはスギ花粉がなくて、うらやましい」という言葉をよく耳にしますが、最近では、スギがないかわりにシラカバ花粉症に悩まされる人が増えています。北海道では、シラカバ花粉症の人は人口の5~10%と言われています。このまま増えていくと、スギ花粉症のように、国民病と言われるようになるかもしれません。シラカバ花粉症の人は、これからが花粉のシーズンです。万全の準備をして対処しておきたいものです。