教育のデジタル化に向けて国が本腰を入れつつあります。国は2020年までに小中学校の生徒1人にタブレット端末1台を整備する目標を掲げていますが、既に、実験的に"1人1台"を実施している自治体も一部であります。今後、この流れはますます進んでいくものと思われます。
マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ客員研究員などを経て、最先端の教育現場を目の当たりにする一方で、約30万人に学びの場を提供してきたNPO「CANVAS」理事長の石戸奈々子さんは、自著『デジタル教育宣言 スマホで遊ぶ子ども、学ぶ子どもの未来』の中で、教育のデジタル化について、「わかりやすくなる」「楽しくなる」「繰り返せる」「創作、表現がしやすい」などのメリットを挙げます。
そんな石戸さんですが、日本のデジタル教育化の動きについて「遅いといわざるを得ません」(同書より)と指摘しています。
「アメリカやイギリスが教育の情報化に積極的な取り組みを見せるだけでなく、韓国やシンガポールなどアジア諸国も国を挙げて力を入れています。日本は情報化の面でも、残念ながら後塵を拝しているのです」(同書より)
なぜ日本では教育のデジタル化が後れているのでしょうか。日本の場合、デジタル教育に対する不安を耳にすることはあると石戸さんは語ります。それは親世代、特にシニア層が、子どもをデジタル環境へ置くことへの単純な不安を抱いているほか、近隣諸国からお手本とされるほど過去の教育が優れていたため、その"成功モデル"から脱却しづらいという事情も関係しているのかもしれません。
一方、日本でも民間の通信教育や塾では、デジタル教育が積極的に推し進められています。石戸さんも同書でこう指摘します。
「通信教育大手のベネッセコーポレーションは、2014年4月から、『進研ゼミ』に、オリジナルの学習用タブレット端末を一斉導入しました。映像を活用した解説、自動採点、保護者への学習履歴の連絡サービスなどの機能がついています」
なお、ベネッセはこの学習用タブレット「チャレンジタッチ」導入1周年を記念して、先着50万人に無料プレゼント中。また、同社はオンライン学習プログラム「BenePa」にも力を入れています。BenePaは500円から購入できるプリペイドカードで、コンビニで購入可。カードに記載されたシリアルナンバーをサイトに登録すれば、サイト上にて音声やビジュアルとともにわかりやすく学べることができるという新しいデジタル教材となっています。
教育のIT化を加速させうる、こうした新しいサービス。IT先進国の子どもたちに後れをとらないためには、昔ながらの教育手法にこだわりすぎず、デジタル教育を積極的に導入する必要があるかもしれません。
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