占い師、作家 しいたけ.
占い師、作家 しいたけ.

 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:私は人との距離感を「近い」か「遠い」かでしか取れません。打ち解けた人が敬語をやめたりフランクに接するようになったりすると、よそよそしい態度や嫌われそうな行動を取り、「遠い」に戻してしまいます。仲良くなろうとしてくれた相手は急に距離を取られて、意味が分からないと思います。どうしたら改善されますか。(女性/学生/22歳/おとめ座)

A:結論から言ってしまうと、「こうしたほうがいい」とお答えするのは難しいかもと思いました。回答を投げ出しているわけではなくて、結局これは「ご本人がどうしたいのか」にかかわる話だからです。

 コミュニケーション問題って、すごく厄介です。コミュニケーションの半分は「義務」で成り立っていて、残りの半分はその人と仲良くなりたいという「意思」の部分でできていると僕は考えています。で、コミュニケーションが苦手な人たちは、義務としてのコミュニケーション、例えば「今日は天気いいですね」とか、職場で雑談をしなければいけないとか、そういうことに意味を見いだしていないことが多いように感じます。別にそれは意味を見いださなくてもいいし、やりたくなければやらなくてもいいんです。

 他人や周りがどうやっているかは、参考にはなるけど、自分の答えにはならないんですよね。フランクに接することだけが仲がいいことだとも僕は思いません。

 本当に人と仲良くならずに一人で生きていきたいのか、多少は誰かと仲良くなれる空気でいたいのか、自分がどうしたいかを突き詰めて考えてみるのがいいように思いました。自分の今の本心の感触を掴んでいく訓練っていうのかな。毎日それを自分の「問い」としてそばに置いておくイメージです。

 そうやって考えていくと、一つの答えじゃなくて、例えばこういう時には放っておいてほしいけれども、金曜日の夜に一人でスマホをいじっている時はちょっと誰かと話したい、みたいないろんな自分の本心が出てくると思います。

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しいたけ.

しいたけ.

しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「しいたけ. 公式サイト」では月刊占いやコラムを連載中。 https://shiitakeofficial.com/

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