メカニックデザイナー・大河原邦夫氏(左端)、アルテサーノ・デザイン合同会社・吉田晃永代表(右端)
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3Dプリンターで作られたトロフィー(最終サンプル品)

 人気アニメ「機動戦士ガンダム」の“生み”の親がデザインしたトロフィーが、3Dプリンターで誕生した。この制作発表会が3日、東京・秋葉原にある「DMM.make AKIBA」で行われた。

 このトロフィーは、3月19日~23日に東京・日本橋で開催される国際アニメーション映画祭「東京アニメアワードフェスティバル2015」で、特別賞「アニメドール」の受賞者に授与される。デザインを担当したのが、あのガンダムのモビルスーツのデザインを手掛けたメカニックデザイナー・大河原邦夫氏だ。台座の上にはアクリルで地球儀を模した球体が乗っており、その付け根から2つの羽が生えたデザインとなっている。この翼は、授賞式が行われる日本橋の麒麟像をヒントにしたという。

 実はこのトロフィー、全て3Dプリンターで作られているのだ。それぞれ違う材質でできているが、最新の3Dプリンター技術では、複数の異なる素材を組み合わせて加工を行うことも可能なのだという。

 トロフィーは、発表会が行われた「DMM.make AKIBA」内で制作された。「DMM.make AKIBA」は、昨年11月にオープンした個人でも利用できる会員制の共有スペースで、シェアオフィスや3Dプリンターなどの工作機械が利用できるサービスを行っている。トロフィー制作で実際に使用した3Dプリンターは、会員が直接操作することはできないが、社員とのコンサルティングを通じ、別途料金を支払うことで利用できる。例えばトロフィーを制作するには、費用が約30万円、期間は4~5日ほど必要になる。

 大河原氏がデザインしたトロフィーを制作した、アルテサーノ・デザイン合同会社・吉田晃永代表は、3Dプリンターの利点について、こう話す。

「3Dプリンターが進歩したことで、モノづくりの制限がなくなってきた。直感的にこういうものがいいのではないか、と思うものをすぐに3Dプリンターで形にしてみて、それをまた皆に見てもらう。そして、また意見をもらって、次の新しいものに進化をさせていく…それが、ものすごいスピードでできるようになってきた」

 3Dプリンターは今や大型化し、家まで作れてしまう時代だ。ひょっとすると、実物大のガンダムが見られる日も近いかも!?
 
(ライター・河嶌太郎)

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