規制線が張られていた現場
規制線が張られていた現場

 冨永さんは、伊藤容疑者とトラブルになった際、持っていたリュックサックを伊藤容疑者の車に置いてきてしまった。翌日、警察が回収してリュックサックは戻ったが、中に入っていた冨永さんの自宅のカギがなくなっていた。冨永さんからの訴えで、警察は伊藤容疑者の同意のもと、家でカギを探したが出てこなかった。

「伊藤容疑者は親族と相談して、『冨永さんとの交際について考えます』と、トラブルはもう起こさないという内容の書面を提出した。これで収まるかと思っていた」(捜査関係者)

 しかし、友人によればその後も、

「冨永さんのSNSに伊藤容疑者がDM(ダイレクトメッセージ)を送ってきた。冨永さんは、何度SNSのアカウントを変えても、伊藤容疑者がなぜか探り当てると、困り果てていた」

 冨永さんから見せられた伊藤容疑者のメッセージは、

「俺と別れられると思っているのか」

「どうなっても知らないぞ」

 などと脅すような内容だったという。

 神奈川県警は、冨永さんに自宅のカギを変えることや、伊藤容疑者に近寄らないことなどを指導した。

 だが、犯行前日の28日には、伊藤容疑者が冨永さんのアルバイト先の横浜市鶴見区の焼き肉店に押し掛けるなど、伊藤容疑者のストーカーぶりはエスカレートした。

 そして凶行が起こった。

 29日朝、伊藤容疑者が冨永さんの自宅の中に入ってきた。冨永さんの家族から外に出るよう促され、いったんは冨永さんの自宅から出たが、外で待ち伏せし、刃物で冨永さんを刺したという。

 伊藤容疑者は紗菜さんのリュックサックにあったカギでマンションに入ったことや、あらかじめ刃物を用意して犯行に及んだことなどを認め、動機について、

「もう一度、紗菜さんとつきあいたかった」

 と話しているという。

 冨永さんは子どものころ劇団に所属し、舞台などで活躍していた。

 2018年に出演した『黴-かびー』という舞台について、冨永さんはSNSに、

<チラシに子役という文字が付いてない、役者としての重さ 責任を感じます(恐れ多いのですが) 子役ではない第一歩 どうぞ応援してください>

 とつづっている。

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