陸上自衛隊の日野基本射撃場(岐阜市)で14日、18歳の自衛官候補生が射撃訓練中に銃を発砲し、3人の自衛官が死傷する事件が起きた。訓練は厳格な安全管理下で実施され、射撃の指示が出る直前まで弾が銃に装てんされることはないと、陸自関係者は証言する。しかし、「待機場所で発砲した」などとする報道もあり、候補生を指導した経験のある元陸上自衛官は「安全管理が規則通りになされていなかった可能性がある」と指摘する。
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どういった事件だったのか、これまでの報道を振り返っておこう。
事件が起きたのは14日午前9時過ぎ、実弾射撃訓練の最中だった。撃ったのは自衛官候補生の18歳の男で、25歳と52歳の隊員が死亡、別の25歳の隊員が負傷した。男は居合わせた隊員らに現行犯逮捕された。
報道によると、逮捕された候補生が狙ったのは52歳の自衛官。死亡した25歳の隊員は、発射を妨げようとしたために撃った、などと話しているようだ。
自衛隊では入隊後3か月間は自衛官候補生(候補生)として訓練を受け、その後、自衛官として任官される。事件が起きた日は、実弾を使った最後の訓練で、これまでの訓練を身に着けているか検定を行う日だった。射撃場には候補生が約70人、指導役の隊員が約50人いたという。
■訓練の「手順」は
なぜ事件は起きたのか。焦点の一つになりそうなのが、訓練での銃の取り扱いの手順だ。
元陸上自衛官によると、射撃訓練は厳格な安全管理の中で、規則に従って実施されており、弾については撃つ直前まで銃に装てんされることはないと証言する。
銃を撃つまでの手順はこうだ。
まず射撃場に入った候補生は、銃を持った状態で待機場所で待機する。
「弾薬受領はじめ」という号令があり、銃を置いて移動し、弾薬係から弾と弾倉(弾を銃に供給する装置)を受け取り、弾倉に弾を込める。5発の弾を入れた弾倉を四つつくるなど、複数の弾倉を準備する。