オープンな議論を
インマンさんらは被害者たちの声を聞いたうえで事務所に何回も取材を申し込んだが、結局、断られた。大勢の人々が苦しんでいる深刻な疑惑に対してまったく見合わない対応と映った。
これがもし、英国で起こったら、どのような展開になったのだろうか。
「英国にはジャニーズ事務所のような企業はありませんし、状況が非常に異なるため、その質問に答えるのはとても難しいです。いずれにせよ、喜多川氏はこれまでの50年間、そして今も守られ続けています」
インマンさんは「日本を奇妙な国のようにいうつもりはまったくありません」と言い、こう続けた。
「番組で話してくれた人や番組終了後にカミングアウトした人はみな非常に勇気のある人たちだと思います。取材に協力してくれた人全員にとても感謝しています。権力をかさに行われる児童性的虐待は目新しい問題ではありませんし、特定の国の問題でもありません。ただ、日本ではそれに対するオープンかつ率直な議論が欠けている気がします。このドキュメンタリーが日本に変化をもたらすきっかけになることを願っています。グルーミングなどのテーマについてもより多くの議論が行われることを期待しています」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)