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 消費税や酒税、たばこ税、自動車税、さらには所得税や住民税……。豊かで安全な暮らしのために使われる税金だが、その負担が重すぎると、資金形成の足かせになる。

 個人や企業が稼いだ所得全体に占める税金や社会保険料の負担割合を示す「国民負担率」は、1981年に32.2%だったものが、30年後の2011年には38.9%、さらに10年後の2021年には48.0と増え続けている。背景にあるのは、消費税率引き上げや高齢化に伴う医療や介護などの社会保障負担の増大だ。

 2025年には、いわゆる「団塊世代」が75歳以上の後期高齢者になる。少子高齢化はますます進み、高齢者の医療や介護のニーズがさらに高まるため、現役世代の税負担は深刻になると予想される。生活のために使われる重要な税金だが、知識がないと払わなくてよい分まで支払ってしまうことになる。

『貯金0円からのiDeCo・NISA超入門』を監修したファイナンシャルプランナーで投資初心者アドバイザーの竹内弘樹さんは本の中で、こう指摘している。


「税金の仕組みをきちんと理解することで、無駄な税金を払わずに済んだり、確定申告で払いすぎた税金を取り戻せたりします。お得な『ふるさと納税』の制度を利用することもできます。一度払った税金は自動的に還付されることはないので、私たちが主体的に行動するしかありません」

「正しい節税」は資産形成の第一歩だ。その具体的な方法を、竹内さん監修の本から抜粋して紹介したい。

 働く人にとって最も身近な税金は「所得税」。一般的に年収が上がれば課税所得額も上がるが、所得税は課税所得が高くなるにつれて税率が上がる「累進税率」が採用されているため、年収が上がってもそれ以上に税額も増え、手取り額は大きく増えにくい。所得税額を抑えるには、所得控除をもれなく申告することが重要なポイントになる。

 控除とは、課税対象の所得金額や納付すべき税金の額から一定の金額を差し引く制度のこと。所得税の場合は、年収から「給与所得控除額」と個人の事情に応じた「所得控除額」を差し引くことができる。該当する控除はすべて申告すること。所得税の控除項目や控除額は社会状況に応じて改正されるが、現在は15種類の控除項目が設定されている。 

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