6月5日、日経平均株価は取引時間中に3万2千円を突破。東京・兜町では日傘をさした人が株価ボードを見つめていた=東京都中央区
6月5日、日経平均株価は取引時間中に3万2千円を突破。東京・兜町では日傘をさした人が株価ボードを見つめていた=東京都中央区
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 日経平均株価が3万円の大台を突破し、バブル期以来およそ33年ぶりの水準となっている。株価急騰の理由は何か。今後は。AERA 2023年7月10日号の記事を紹介する。

【グラフ】急騰する日経平均株価

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 東京株式市場が株高に沸いている。日経平均株価は5月17日に3万円の大台を突破し、6月16日に昨年末比3割高の3万3706円08銭と、バブル最盛期の1990年3月以来およそ33年ぶりの水準に駆け上がった。株価はこのまま上がっていくのか、それとも失速するのか。

 日経平均は今年1月から毎月上昇してきた。アベノミクス相場では、株式を組み入れた上場投資信託(ETF)を日銀が脱デフレ策の一環として大量に購入。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も日本株の投資配分を増やし、株高に大きく貢献した。しかし、今回の上昇相場で日銀やGPIFといった「公」の後押しはない。

■海外投資家が期待

 三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩さんは「春先にプラス要因が重なりました」と話す。東証は3月末、資本効率や株価を意識して経営するよう上場企業に要請。株価が1株当たりの純資産と比較して1倍を下回る割安企業に是正策公表を求めた。東証は「お願い」と位置付けるが、企業にとって強い圧力だ。市川さんは「海外投資家は日本企業の変化に期待を高めました」と指摘する。

 4月9日就任の日銀の植田和男総裁が金融緩和政策を維持し、大量の資金供給を続ける方針を表明したことや、インバウンド需要回復、大手企業の賃上げラッシュも内需を刺激する材料として株価を押し上げた。

 日経平均の史上最高値は89年12月29日の大納会に付けた3万8915円87銭。6月16日から16%上がると高値を更新する。

 SMBC日興証券の牧野潤一さんは投資家向けレポートで「名目GDPが、アベノミクスが目指した600兆円を超える時、日本株は過去最高に達すると思われます」と指摘する。

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