「真正面から取り組みたい」と語った松本幸四郎/(C)「鬼平犯科帳」時代劇パートナーズ

 「鬼平ファンとして、捕物シーンで平蔵の幸四郎さんがいらしたときはシビれました」(本宮)

「『火付盗賊改方、長谷川平蔵』と名乗られるシーンはぞくっとしました」(山田)

「名乗りの場面を見て、この座組に参加できてよかったとうれしくなりました」(柄本)

「殺陣で対峙したときに、強さと包容力を感じました」(久保田)

「所作も教えていただいています」(浅利)

「どの方にもフラットに接してくださるのは、長谷川平蔵さんと同じだと感じました」(仙道)

「カッコいい鬼平であり、近所のお兄ちゃんのような優しさがあります」(中村)

 SEASON1は、平蔵が「鬼の平蔵」になっていく過程が大きなテーマのひとつになる。ケンカ三昧の放蕩無頼生活を送り、“本所の銕”と呼ばれた青春時代の平蔵を演じる染五郎は、「銕三郎は、刀ではなくこん棒のようなものも使います。斬るのではなく、殴る殺陣は初めてで、こん棒の重さを殺陣で見せるのは難しかったです。本所の銕のようにやんちゃしていた役柄は今までやったことがなかったので、新境地の役に挑戦できたのはうれしかったです」と語った。

 荒んだ日々の中で銕三郎は、世の表と裏を知り尽くし、悪に手を染める人間の弱さも心得たおとなの男になっていく。これまでのシリーズでは、銕三郎時代のエピソードは多くは描かれてこなかった。吉右衛門版では、吉右衛門自身が若き日も演じていたが、今回、幸四郎の息子である染五郎が、そのままの若さと危うさを見せることで、平蔵の人間味がより深く伝わるはずである。

「平蔵の姿になった父が現場にいると、同一人物を演じているだけに自分の未来がそこにあるようで、不思議な感じがしました」「過去の「鬼平」シリーズを見て、時代劇はこんなに面白いんだと思いました。時代劇は現代とはまったく違うという意味ではファンタジーのようにも見える。SFを見るのと同じような感覚で若い人にも見ていただきたいです」

 幸四郎は、染五郎の言葉を受け、「このシリーズは、捕物帳で事件を追う話ではありますが、人間の生き様が描かれる人間ドラマです。江戸生まれの人が現存しない今、フィクションではありますが、時代劇の中で説得力のある江戸を作っていこうじゃないかという気持ちでいます。着物の魅力、四季折々、日本は豊かで面白いと思っていただけるよう心掛けます。新たな鬼平をひとりでも多くの方に楽しんでいただきたいです」と締めくくった。

「鬼平犯科帳」SEASON1「2時間スペシャル 本所・桜屋敷」は、2024年1月放送・配信、劇場版『鬼平犯科帳 血闘』」は2024年5月公開。一時間枠の連続シリーズ「でくの十蔵」「血頭の丹兵衛」は2024年5月以降に放送、配信される。

 シリーズのもうひとりの“主役”ともいえる火付盗賊改方と敵対する盗賊を誰が演じるのか。その辺りも注目である。(コラムニスト ペリー荻野)

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