1991年7月10日、長崎県雲仙・普賢岳の大火砕流からわずか37日後に避難所を訪れ、ひざをついて避難住民に語りかける天皇、皇后両陛下(当時)
1991年7月10日、長崎県雲仙・普賢岳の大火砕流からわずか37日後に避難所を訪れ、ひざをついて避難住民に語りかける天皇、皇后両陛下(当時)

 秋篠宮家へのバッシングが止まらない。国民からの皇室へのバッシングは、美智子上皇后が皇太子妃になった時代から、対象や質を変え存在してきた。バッシングの根幹にあるものは何か。AERA 2023年6月12日号の記事を紹介する。

【写真】ウィリアム皇太子と談笑する秋篠宮ご夫妻

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 皇室に対する国民の「まなざし」の変化。そこを読み解くには、「皇室に『無垢さ、高潔さ』を求める構図を理解すべき」と指摘するのは、社会学者で国学院大学教授の水無田気流さんだ。起点は、戦後の憲法体制下で国民統合の象徴としての天皇制が開始され、天皇と皇室の権威と権力が分離されたことだと話す。

「戦後を民主主義国家としてスタートするにあたり、戦前までの家父長制の頂点として君臨する天皇・皇室像から、民主的な家族観に適合する『国民に寄り添う天皇・皇室像』への変化が求められました。そのために、その権威から『具体的な権力』を徹底的に取り除いたんです」

 つまり、象徴天皇制における皇室の権威とは、一般社会での権力関係から離れ、国民に寄り添うことによって完成する。そしてそのとき皇室に求められるのは、「権力とは無縁の無垢さ、高潔さ」だと水無田さんは言う。

「威力で屈服させるのではなく、無垢さと高潔さによって国民が心から『これを国の象徴として頂きたい』と思う。その心象に寄り添う姿勢を見せるからこそ、国民は天皇・皇室を象徴として認め、かつ尊敬する。無垢で高潔であるほど、国民はそこにオーセンティシティー(正統性)を見いだすという構図がある」

 たとえば、いまの上皇ご夫妻は、「超人的な努力で国民に寄り添う天皇像を作り上げてきた」と水無田さんは言う。それに比べると、秋篠宮家は旧来の天皇家の正統性の源泉である無垢さや高潔さから外れた振る舞いをしているように見えることで、バッシングが苛烈になっているのではと、水無田さんは見る。

「宮家が世俗的な上昇志向や権力志向を持っているかのように国民に見えてしまっている。盛んに『具体的なお金の話』が出るのがその証左です」

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