この日のSUGAは幾度となく観客にマイクを向け、笑顔で歌声を聴いていた。ライブができない時期を経た4年ぶりの来日公演で、再び日本のファンの声が聞けたことがうれしかったのだろう。「SDL」の最後の歌詞、「I’m thinking ‘bout you」を歌い切る際、ARMYへの愛を込めるように、キスのような音を入れ込んだ。

■圧巻のスキルとスタミナ
BTSの楽曲「Interlude: Shadow」は、ダンサーたちの背後から、白い衣装で勢いよく登場して披露した。
「ラップスターになりたい トップになりたい ロックスターになりたい すべてがほしい」という願望と、巨大な成功によって生まれた不安とを吐露したラップと呼応するように、バンドのアンサンブルが大きくなっていく。立ち尽くすSUGAをダンサーたちが囲み、ライトをSUGAに向けると、カメラのシャッターのような音が鳴った。有名になり常に多くの人から見られるようになった苦悩にフォーカスしただろう演出だった。
BTSのラップライン(RM、SUGA、J-HOPE)の楽曲「Cypher PT.3 KILLER」「Cypher 4」「UGH!」「Ddaeng」のメドレーで見事な高速ラップを披露した後、「HUH?!(feat.j-hope)」につなぐ流れは、ラッパーSUGAのスキルとスタミナが圧巻だった。
■祈るように歌った
SUGAは「メンバーがいなくてひとりで歌うとすごく寂しいですね。でも皆さんが一緒に歌ってくれて、心強かったです」と感謝の気持ちを伝えた。
BTSの「Life Goes On」は、歓声をあげるオーディエンスを見つめながら、ピアノで披露した。新型コロナウイルスの蔓延により世界が恐怖と孤独に覆われた時期に強い希望をもたらした楽曲だ。美しい演奏と歌声が会場を包んだ。