かさはら・ひでひこ/専門は日本政治行政史。皇位継承問題の専門家として政府主催の有識者会議ヒアリングなどにもたびたび出席
かさはら・ひでひこ/専門は日本政治行政史。皇位継承問題の専門家として政府主催の有識者会議ヒアリングなどにもたびたび出席

 かつて皇籍を離脱した旧宮家の方々に復帰していただく案も取りざたされています。ただ、1947年に離脱した11宮家の方々は「何世代遡れば天皇に行きつくか」を表す世数が男系をたどった場合16~18世、その子孫は20世くらいになっています。直系の先祖が天皇だったのは南北朝時代のことで、現在の天皇家との血縁はかなり遠いと言えます。憲法2条では皇位を「世襲のもの」と定めています。世襲は女性や女系は排除しませんが、かつての天皇の20世孫である旧宮家の方々を皇族とするのはやや無理があるでしょう。

 ただ、皇族数減少による活動の担い手不足も喫緊の課題です。旧宮家の方々の復帰があり得るとするならば、より天皇家に近い、婚姻で皇籍離脱した元内親王の復帰なども、もちろんご本人の意思が大切ですが、検討の余地はあると考えています。

 上皇、上皇后両陛下は在任中、非常に熱心に公務に取り組まれ、国民との相互作用のなかで象徴天皇としての新たな皇室像をつくり上げました。今上陛下も権力は持たないけれども純粋な権威を体現されています。一方、皇族に対するバッシングもたびたび起こります。継承制度をどうするかの議論はもちろん、制度の中核である権威を持ち、国民の尊敬と敬愛の対象になれるかが問われます。

(構成/編集部・川口穣)

AERA 2023年6月12日号

暮らしとモノ班 for promotion
【フジロック独占中継も話題】Amazonプライム会員向け動画配信サービス「Prime Video」はどれくらい配信作品が充実している?最新ランキングでチェックしてみよう