パターン3は自動的に分配金を再投資してくれる投資信託に投資した場合だ。
運用開始当初の元本100万円が10年後にどれだけ増えたかを示した売却直前の評価額(1)は予想通り、通常の投信に軍配が上がった。
パターン1(東証ETF/再投資なし)は約140万円、パターン2(東証ETF/自分で再投資)は約157万円。パターン3(投信/自動で再投資)は約160万円だった。
「投信と同じように分配金を再投資しても東証ETFの評価額(1)が劣ってしまうのは、分配金を受け取った際に20.315%の税金が引かれてしまうからです」
税引き後の約2割減った分配金を再投資に回していることになるわけだ。
東証ETFの場合、S&P500の「米国でかかった10%の税金」は自動的に二重課税の調整がされるというメリットはある。
一方、通常の投信は「米国の税金10%が差し引かれたうえ」で、残り約9割の分配金が再投資に回っている。
税金による分配金の目減りは東証ETFが約20%、投資信託が10%。この「分配金にかかる税金の差」がパターン2とパターン3における売却直前の評価額(1)の差、約2万5000円の正体である。
■再投資は利益か元本か
しかし、今回のシミュレーションで驚くべき事実が判明した。
売却直前の評価額(1)では投信が東証ETFに勝るが、いざ売却して利益確定した売却後の手取り額(税引き後)(4)では、わずかながらパターン2の東証ETFが投信より有利という結果になったのだ。
パターン2(東証ETF/自分で再投資)の(4)は約149万円。パターン3(投信/自動で再投資)は約148万円。なぜ?
「売却後の税引き後の手取り額で東証ETFが勝ったのは、売却時点で分配金が『投資元本』と見なされるか『利益』と見なされるかの違いによるものです。
東証ETFで再投資された分配金は、すでに税金が引かれたもので、課税する側から見ると単なる『現金』でしかありません。
投資家が手動で『追加購入』しているわけですから、投資元本として積み上げられます。