分配金を自動で再投資してくれるタイプの投資信託と東証ETFでは、長期の資産形成でどのくらい差がつくか? 東証の協力により特定口座と新しいNISAそれぞれを10年検証。アエラ増刊「AERA Money 2023春夏号」より。
【図表】東証ETFvs普通の投資信託の10年検証結果はコチラ!
資産形成期は、東証ETFで分配金が出ても、使わず再投資に回したほうが、複利で効率よくお金が増えていく。
まず、「複利で効率よく」をイメージで説明しよう。1万円の資産から1%の分配金=100円が出たら再投資に回す。すると投資元本は1万100円に。
1万100円が2%値上がりして、1万302円になった。1万302円から1%の分配金103円が出る。再投資に回して、投資元本が1万405円に。これがまた2%値上がりすると……という感じだ。
東証ETFを特定口座で買い、分配金を受け取ると20.315%が引かれる。複利で効率よく増やしたいなら、課税後の分配金を自分で再投資するといい。
通常の投信で分配金を出さないタイプの場合、分配金は同じファンド内で再投資に回る(※)。私たちは「直接受け取っていない」ので日本の税金はかからない。
さて、分配金に対する課税・非課税でどれくらい最終的な収益に差がつくか。本誌は東証の富田貴之さんの協力を得てシミュレーションを行った。
※本記事では触れないが、「分配金を出すタイプの投資信託」で「再投資コース」を選択した場合、普通分配金なら20.315%課税後の金額が自動で再投資される
■売却前は投信の勝ち
本記事で示した図のパターン1~3は、S&P500に連動する東証ETFと投資信託(以下、投信)を10年運用した場合の比較だ。
分配金や売却益に20.315%課税となる特定口座で購入。S&P500が毎年5%ずつ上昇、分配金利回りは年1.5%と仮定して計算した。
パターン1は東証ETFに投資して、受け取った分配金を全額、生活費などに使ったケース。パターン2は分配金を受け取ったら、すぐに自分で再投資に回すケース。
※実際、東証ETFの保有口数が少ない間は、受け取った分配金だけでは新たに最低口数分を買うことはできない。分配金に手元の資金を加えて最低口数分を買うことになる。今回の試算では1口以下でも買えるものと仮定