長期化の様相を呈し、終わりの見えないウクライナ戦争。さまざまな言説が飛び交うなか、この戦争の本質について考えをめぐらせるうえで必読の対談本が2023年6月13日(火)、発売されました。フランスの歴史人口学者のエマニュエル・トッドさんとジャーナリストの池上彰さん、世界の頭脳とも言える二人の初めての対談本となる、『問題はロシアより、むしろアメリカだ 第三次世界大戦に突入した世界』(朝日新書)です。

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「なぜこの戦争は起きたのか」「戦争は今後どうなるのか」「戦争の後にはどんな世界が待っているのか」「多様化・多極化する世界のなかで日本の進むべき道はどこにあるのか」を語り尽くしました。この戦争を巡っては「とにかくロシアが悪い」、そう考えている人は多いはずです。しかし少し視点をずらすと、また異なる世界が見えてきます。戦争の責任はアメリカとNATOにこそあるのではないか。そして何より、この戦争はアメリカという覇権国家の終わりの始まりではないのか──。3日間にわたる濃密な対話では、トッドさんが「こんなことを話すのは初めてです」と思わず語る場面も。この本を読めば、ウクライナ戦争について「まったく新しい視点」を手にできるはずです。

【Contents】

はじめに エマニュエル・トッド

第1章 ウクライナ戦争の原因とジャーナリストの責任

どうしてアメリカが戦争に向かわせたか

バルト3国からウクライナまで不安定な地域圏

「最大の責任はアメリカ」 まず日本で発言した理由

なぜメディアはロシア嫌いなのか

みなそろって好戦的な報道機関

第2章 終わらない戦争

第三次世界大戦はもう始まっている

ポーランドのロシアに対する憎しみ

好戦的になりつつあるバルト3国と米英

仲介案を出した中国の真の目的

ロシアと中国は戦争継続に意義がある

第3章 意識化の対立と「無」への恐怖

世界ではLGBTについて保守的な傾向の国が多い

忘れ去られるかもしれないネオフェミニズム

戦争を見ていくうえで重要な人類学的側面

ロシアがしていることはアメリカがしてきたこと

民主主義や自由を守る戦いではない

第4章 アメリカの没落

NATOの兵器供与が戦争を長引かせているのか

ウクライナ戦争の五つのファクター

アメリカはドイツにも戦争をしかけている

岸田文雄首相のキーウ電撃訪問に疑問

ヨーロッパ人は現実を直視していない

第5章 多様化していく世界と我々

アメリカが崩壊したら日本はどうするべきか

グローバルサウスはむしろロシアに近い

みんなが負ける負け戦が続く

世界が多様化しても不安定とは限らない

ロシアはもちろん悪いのだが――あとがきに代えて 池上彰

年表 ウクライナ戦争をめぐる動き

『問題はロシアより、むしろアメリカだ
第三次世界大戦に突入した世界』(朝日新書)
著者:エマニュエル・トッド、池上彰
定価:869円(本体790円+税10%)
発売日:2023年6月13日(火曜日)